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ウォーター国創世記  作者: 雪香
1章―はじまり―
8/100

文句を言わせて貰います



紗季は人類至上、初めて神様を正座させると、眼光鋭く神を見下ろした。


「…で?何で初めに出て来なかったわけ?」


神は悪びれた様子も無く、にこりと笑った。


「だってさぁ?王が神殿で水晶に手を触れないと、出てこれないんだもん。」


「…じゃ、あの説明書に書いとけば良いじゃん!」


紗季の言葉に、神は瞳を輝かせた。


「あ!あれ見てくれたぁ?…じゃあ、もう美形集めて逆ハーでモテモテウハウハでしょ?」


妙にニヤける神に、紗季は半目になった。


「悪いけど、今仮側近1人だから。あんな説明書で出来るわけないでしょ?」


ふざけんな!

逆ハーウハウハなんて余裕ねぇよ!


生活に困ってんのによ!


神は、あれ?と首を傾げた。


「…え~まだぁ?つまんない。じゃあ、またあとで…」


と言って消えようとする神に、紗季は腕をがっちり掴んだ。


「…その前に、一から説明しろ。」


神は紗季の気迫に、思わず頷いていた。


「…うんとね。まずは、この世界には、100年に一度王を選ぶって役目が私にあるんだよね?

それで、城と土地はあげて後は放置なんだけど。」


紗季は相槌を打つ。


神は続ける。


「まぁ、王はなった日から不老不死だから、国が機能すれば好きに過ごせる。側近や官吏が最低限政が出来ればね。

でも、上手くいかなければあっさり国は潰れる。様々な理由でね?」


紗季は、ふとトレガーを思い出した。


神は紗季を見つめる。


「…君は丁度100年の境に命を落とし、魂がこの世界を通った。偶然だったんだ。」


そういう事か…。


頭を抑えたが、過ぎた事に何か言うことはしなかった。


「てかさぁ…私が不老不死って事は、周りは死んでいくんだよね…。」


少し寂しそうな声音の紗季に、神は首を振った。


「いや?君が選んだ上級役人以上の者なら、不老不死にできるよ?」


はい?


「…どうやって?」


神は懐から分厚い本を取り出した。


「…これは《神書》。ここに名前を書き入れた者は不老不死になるよ。あと、国の細かな法や決まりも書き入れてみて。」


神書かぁ。


「ただの国民は駄目だけどね。…あと、君以外は書けないよ。」


紗季は本を受け取り、本をじっと見つめた。


そして、神を見返す。


「私を選んだのは貴方だからね。…文句言わないでよね。」


紗季の言葉に、神は微笑んだ。


「うん。生きるも死ぬのも君次第。まあ、好きにやってみて?」


紗季は黙って俯き、しばらくそのままでいた。


しかし、次に顔を上げた時には何か決意をした表情を浮かべていた。


やってやろうじゃん!


つくるよ私の国を!







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