表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウォーター国創世記  作者: 雪香
3章―ケープラナ動乱編―
63/100

終わる町へ

元騎士団団長キリス・トレガーの後を着いて行っていた、鳥人セラと孤人ネルビアは目を疑っていた。


野獣や魔獣が国に侵入していると聞き、キリスは自分の部下を通して城へ応援を送った。


クデルトに居たキリスは部下を連れ急いで駆けてきたが、その場は想像と悪い意味でかけ離れていた。


野獣と聞き、キリス達の頭には巨大な犬や兎の様な生き物が浮かんでいたのだ。


しかし、目の前の生き物は違っていた。

ギョロリと見開く瞳は充血した様に真っ赤に染まり、牙は獰猛な肉食獣の様に鋭い。

何よりも目を引く異様に長い足は、しっかりと大地を踏んでいるのにも関わらず、前足は大地から離れている。


遠目に見たセラは、小さく悲鳴を上げ口元を押さえた。


「…あれは、何?」


ネルビアは眉根を寄せ黙っていたが、キリスの苦い表情に視線を向ける。


「…どうかしたの?」


「ああ…騎士団は、来ている様なのだが…」


キリスの言葉に、騎乗する集団を見つけ直ぐに察してしまった。


立ち竦むか、逃げ惑う武官達。

キリスの固い表情は、伏せた目を上げた瞬間決意を込めていた。


「…あの場には若い武官しか居ないようだ。直ぐに向かおうと思う。ネルビア…セラを頼んでも良いか?」


「キリス様?!」


声を上げるセラに小さく笑みを向け、キリスは黙って駆け出した。


ネルビアは深く溜め息を吐く。


「…まだ返事してないんだけどー。」


しかしネルビアは断る気も無かった。

行動を共にしたキリスは、少なくとも異種族に対する偏見は見られなかった。

セラとの関係性を見ても、まるで親の様に接しているし、狡猾と言われる自分(きつね)の意見を疑わなかった。


まあ、だからと言って全部信用してはいないけど。


「……ん?!」


その時、嗅覚が鋭く反応を示す。


「セラ…。」


「っ何?」


ネルビアが呼び掛ければ、セラも異変に気付いたのか目を合わせる。


「…サキちゃんの匂いがする。…たぶん、狼ヤローも一緒っぽい?あと、知らない人間の匂いも。」


冷静に考えるネルビアに、セラは慌てて周囲を見渡す。


「そんな呑気に考えてる余裕は無いわ!急いで離れる様に言わないと!」


ネルビアも小さく頷くと、セラに促されその背に乗り高く舞い上がる。


とは言え、どうしてもキリスを気にしてしまうセラは、焦り呼吸が乱れがちだ。

救いと言えば、野獣もどきに飛行能力が無い事だろう。


目を凝らして地上を見渡せば、町に近付く数頭の騎馬が見つかった。


直ぐに高度を下げて、騎馬達の前方に舞い降りる。


「サキ様!!」


「…え?セラ?!あ、ネルビアも。」


急に現れたセラに、サキを乗せた騎馬を操るファウルは、相手が敵では無いと察し馬を止めた。


「セラ何処行ってたの?てか怪我とか無い?」


純粋に疑問をぶつける紗季だが、セラは後方を忙しなく確認し早口で返す。


「ご心配お掛けしました、サキ様。詳しい事は後で必ず…!それより、速く此処から離れて下さい!」


「どういう事だ?」


それに直ぐに反応したのはファウルであった。


「…拙は、救援を受け向かっていた!先に騎士団が、もう着いているはずだが?」


セラはぎゅっと唇を噛み締めた。


「貴方がどんな救援を受けたか知らないけど…今、町は破壊され人間も半数は死んでいるわ。…野獣の様な怪物に!」


セラの震える声と真剣な表情に、ファウルの目も細まる。


「…鳥人殿、騎士団とその野獣の数は?指揮している者は分かるだろうか?」


ファウルの部下達の顔色が悪くなる中、当の本人は冷静にセラに問うた。


「いえ…数まで。」


「…野獣っぽいのは30~40ぐらい。騎士団はほとんど逃げてたから500いかないぐらい?」


首を傾げるセラの横で、ネルビアが淡々と語る。


ふむ、とファウルは頷く。


「礼を言う。狐人殿、ちなみに指揮は誰かしているだろうか?」







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ