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ウォーター国創世記  作者: 雪香
3章―ケープラナ動乱編―
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魔獣と野獣

※残酷表現注意です。


魔獣とは、元来魔族が作り出した人工的な生物である。いつ頃からか、野の獣と混じり薄暗い森や洞窟を好み棲み着く。

厄介なのは、餌としているのが他の種族という事だ。


つまり、魔獣以外の生物を日々の糧としているわけである。


次に野獣だが、文字どおり野に住む獣の事だ。

賢い彼らは無駄な狩はしない。最小限弱く効率的な餌を求める。彼らは普段、集団で弱い生き物を狩っている。



それが、自由民や国に住むもの達の一般的な知識である。


10日程前、ある国の奥深くで裏切りを犯した者へ処罰が行われた。

瀕死の身体は国外へ捨てられ、その体から出ていく血液は並では無かった。


それは偶然だった。

一匹の若い野獣が何に惹かれたのか、地に滲んだ血液を舌で掬いとった。

それが喉を通った時には野獣の身体には、変化が訪れる。


五感が鋭くなり、身体は頑健となり、何よりも思考が芽生えた。


〔ジブンガタベタモノヲ、ミンナニオシエネバ〕


まず野獣は自分の(つがい)と子に舐めさせた。

何故か思考は生まれなかったようだが、彼らも並外れた身体を手に入れた。


野獣は思う。


〔イマハチヲナメタガ。ジャア、ソレヲタベタラ〕


野獣は血を舐めた仲間を増やし、血の臭いを辿って行く。


聳え立つ壁に囲まれたそこからは、無数の気配を感じる。


野獣達は、走り回ると簡単に中に入る方法を見つけた。

理由を知るよしも無いが、元々頑丈に作られた筈だった壁には、崩れかけた場所がいくつか見つかる。


野獣の中で身体の大きい者が何度か体を当てれば、簡単にそこに穴が空いたのだ。


穴から入ると、あの血と同じ生き物だろう動く物が見えた。

初めは近くに居た、とても小さな物を頭をつかんで噛み砕いた。

初めは高い音で鳴いて五月蝿かったが、直ぐに音が止んだ。


初めて食べたそれは、とてもいつも食べる毛のある生き物や脚の多い生き物より食べやすく感じたのだ。



「…………ヴ…マイ……」






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