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ウォーター国創世記  作者: 雪香
1章―はじまり―
5/100

見つけた3日目




暖かな朝日に、紗季はバッと身体を起こした。


ヤバッ

寝すぎた?!


座って眠っていた為、節々が痛み思わず顔をしかめる。


あーお風呂入りたい。

遊びたい。

寛ぎたい。


しかし、10年で食料が無くなること…


現在1人きりのこと…


紗季は座り込んだまま、膝に顔を埋めた。


もうやだ!


ムカつく!


最悪!


知らず知らず頬を濡らすものも拭わず、その場で立ち上がると比較的歩き易そうな道を歩き始めた。


その時、視界の端に妙なものが映った。


…足?


一瞬思考が起きかけ、すぐに悲鳴を上げた。


「…ひぃぃ!死体ぃ?!初遭遇の人間が死体って最悪なんだけど!」


先ほどまでの思考も吹っ飛び、恐る恐る近付いく。


そっと木の後ろから覗き、倒れている人間を観察した。


なんとか分かるのは短い焦げ茶色の髪、騎士の様な服装だった。


そう…だったという程、その人物の服装は酷い有り様である。


所々破れ、それ以上に身体中傷だらけで、生々しい傷もあった。


しかし、紗季はなんとか気持ちを抑え、その人物の傍に腰を下ろす。


自分の持っていたハンカチで相手の顔を拭ってみた。


…うわ。結構美形だ!


いや、それよりどうしよう…。


口元に手を当てると、まだ息をしている事が確認出来た。


…誰か医者プリーズ!


紗季はそうっと男の背中に腕を伸ばし、なんとか背負った。


…っ重!!


重くて死ねそうですが!


身体中悲鳴を上げながら、男を引きずる様に背中に乗せて歩き出す。


あー無理かもなぁ。


すごく辛いが、男を見捨てるという思いは欠片も無かった。


また同じ距離を歩き続け、帰りはたっぷり二時間はかかっていた。


なんとか城に着くと、男を入ってすぐの部屋のベッドに下ろした。


あ~しんどい!

疲れたぁ…。


水を勢い良く飲みしながら、片手は色々物色していた。


奥の部屋にあった包帯や布を用意し、男に向く。


「…よし、やるか。」


そう呟き、濡らした布で男の傷を拭い、包帯を巻き付けていった。


あ~グロい。


生々しい傷もなんとか見ない様に手当てし、男の額に冷やした布を置いた。


怪我すると熱出るしね。


手当てが終わる頃には、すっかり外は暗くなっていた。


紗季は他にやる事もない為、男の額の布を変えたり、様子を見て過ごした。


途中お腹が空くと、適当に食料を持って来て男の部屋で食べ始める。


調理したスープに口をつけた時、男が身動ぎした。


…ん?


じっと様子を見つめると、男の瞼がゆっくり上がった。


男は周りに目を向け、紗季を見つけて目を止めた。


…起きた!

でも、どうしよう?


とりあえず、浮かべた笑みを向けておいた。


「…えっと、食べる?」


スープを差し出すと、男は頷き口を開く。


「…水が、欲しい。」


喉が渇いているのか男の掠れた声に、紗季は置いておいた水差しから水を入れて男に飲ませた。


男はそれをなんとか飲み干し、笑みを浮かべた。


「…ありがとう。……所でここは?…君は誰だ?」








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