表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウォーター国創世記  作者: 雪香
3章―ケープラナ動乱編―
46/100

ある室内での会話

※主人公出ません。

短めです。




「…ファウル将軍からの報告は、まだきておりませぬな。」




鋼鉄の様に固い声音に、大分低い位置から返事が返された。





「…そうだねぇ~?やっぱりクデルト王を説得するのは、ファウル君じゃ駄目かもねぇ。」





金色の巻き髪に、天使の様な相貌の美少年が書物を捲る。




美少年の言葉に、子どもの身長程差のある人物は眉を寄せた。




「…む。確かに、ファウル将軍は…。」




そこまで言いさし、口を閉ざした。




ケープラナ国国立軍総将軍ファウル。

正義感を持ち、忠誠心の厚い好人物だが少し暴走しがちである。

真っ直ぐ過ぎる為、取り引きは上手くない。




しかし、今は他に相応しい人材が居なかった。




「…キリス君がいればねぇ。」





ポツリと呟いた美少年に、青年は瞳に底冷えする様な光を宿した。





「…例え生きていたとて、赦せはしますまい。」




美少年は特に表情を変えず、興味深そうに微笑んだ。





「…命を終える道を選んだのは、王自身なのにぃ?」





「…関係ございませぬ。天より選ばれた尊き方に刃を向けた時点で、あやつは深き罪を負った。」



静かな怒りを宿す青年に、美少年は軽い口調で返した。




「そっかあ。まぁ、シュラ君は真面目だからねぇ~。




「…ハンニエル様は、トレガーを許せるのでございますか?」





「…ふふ。さぁてね?…僕の考えを言っても、分かるのはモリス殿くらいじゃない?」





ハンニエルののんびりとした口調に、青年…シュラは怪訝そうな表情を浮かべた。




「…左様ですか。」

(…どうせこれ以上問うても、答えは期待できまい。)





シュラは長い前髪をかき揚げ、紅の瞳を伏せた。





(…1人でも多く、民を救いたいものだが…)





その時、部屋の扉が叩かれた。





「…はぁい。だれ~?」



ハンニエルの声に、若い官吏の緊張した声が返された。




「…お忙しい中大変申し訳ございません!…宰相閣下が、今すぐ高官を呼び集めるようにと…!」



ハンニエルが小首を傾げた。



「…アルバンド君がぁ?」



「…はっ!」





高官が集まる場所は、常日頃中央広間が使用される。




シュラは軽く思案する様に顎を手に乗せたが、直ぐに扉に顔を上げた。




「…承知した。宰相に参ると伝えよ。」




「…はっ。」




「僕も~。」





官吏が急いで廊下を駆けて行くのを耳にし、ハンニエルは椅子から立ち上がった。




「…じゃあ、行ってみよっかぁ。」




「…はい。嫌な話しで無ければ良いのですが…。」





二人の官吏は、廊下を早足で進んだのだった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ