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ウォーター国創世記  作者: 雪香
3章―ケープラナ動乱編―
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城に行く



なんかお腹空いてきたかも…?


紗季は不老不死になってから、飢えや渇きを強く感じない身体になっていた。


紗季はレビュート、何故か着いて来たローマネと共に、セラの居る宿に向かう。


…ネルビアも戻ったかなぁ?


宿に着き、部屋に戻るともぬけの殻だった。


「……あれ?」


「…鳥女も、狐野郎もいねぇな。」


…何処に行っちゃったの?


直ぐに宿の主人に聞いたのだが、首を振られただけであった。


「…セラ、体調悪かったのに…どうしたんだろう?」


困惑した紗季に、レビュートは宿の周りの地面に鼻を寄せた。


眉を寄せて地面を嗅ぐレビュートに、紗季は首を傾げる。

「…何やってんの?」


その疑問に答えたのは、ローマネだった。


「匂いで、その鳥人の行方を探るのじゃろう。」


…へぇ。

さすが狼!


感心しつつ、レビュートに近付く。


「どう?何か分かった?」


紗季に聞かれ、レビュートは顔をしかめて顔を上げた。


「…途中で匂いが途切れてる…たぶん翔んだんだな。…狐野郎の匂いは薄くてよく分からねぇ。」


…えー。


という事はセラとネルビア探しに行かないとなぁ。


…でも、グズグズできないし。


「…どうするんだ?」


ジッと自分を見つめるレビュートに、紗季は頭を捻った。


…やっぱり、城に行った方が良いよね。



二人も子どもじゃないし。


クデルトの二の舞にはならないはず。


そう思い、紗季は此方を見る二人に向く。


「城に行こう!」


紗季の言葉に、ローマネは口元に笑みを浮かべ、レビュートは頷いた。


荷物を整理し、宿から出るとナディアから聞いた情報を思い出す。


「確か…城は首都にあって、ここから2日かかるんだっけ?」


遠っ…


ため息混じりの紗季に、レビュートは意味ありげに紗季に視線を送った。


それに気付いた紗季は、何?と視線を返す。


「…2日ってのは、人間の足でだろ?獣人なら半日もかからねぇ。」


ええ?!

凄い羨まし…。


「…そっかあ。レビュートだけなら、速いんだ。良いなあー…。」


「………。」

紗季の呟きにレビュートは口をつぐんだ。


「…どしたの?」


何故か黙るレビュートに紗季が首を傾げると、レビュートがローマネにジロッと目を向ける。


「…おい、魔族。てめえどのくらい走れる?」


ローマネはそこだけ分かる口元を、ニヤリと上げた。


「…さあてのう。獣人ならば、豹人には敵うまいが…狗人、猫人、狼人には劣らないかのう?」


「言うじゃねぇか…。」


レビュートは鼻を鳴らすと素早く紗季に近付く。


「…おい、早い方が良いんだろ。」


…は?


「まあ、そうだけど。どうする…」

紗季の質問が終わらぬ内に、レビュートが紗季を軽々と抱き上げた。



「わっ!ちょっ…!」



「黙ってろ。舌噛むぞ!」


そう言うと、紗季を横抱きにして地面を蹴り上げた。


紗季を抱いたままレビュートは高々と跳躍し、近くの家屋の屋根に飛び移る。


そのすぐ後に、ローマネが顔色一つ変えず着いて来た。


…何これ?

お姫様抱っこで、これだけときめかないの凄くね?


軽く現実逃避しかけた紗季に、レビュートはチラリと見つめ、ローマネを振り返った。


「これから城に行く。行って置くが、てめえが遅れても待つ理由はねぇからな。」


はっきり告げた言葉に、ローマネは軽く頷く。


「構わんよ。」

ローマネの返事を待たずに、レビュートは走り出した。




風を切る様に屋根を飛び移るレビュートに、紗季は腕を首に回した。


…めっちゃ速いんだけど。


たぶん、空を飛ぶセラ並みに。

やっぱり、獣人って人間とは違うんだよね。


ふと、レビュートのふさふさの耳と尻尾が目に映る。


…ああ。

こんなに近いと触りたくなる。


ダメダメ、今は止めとこ…空気読めるからね、私。


紗季が悶々としている内に、レビュートの言葉通りに半日かからずに着いたのだった。






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