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ウォーター国創世記  作者: 雪香
3章―ケープラナ動乱編―
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話しましょう


レビュートは黙り込んで紗季を見た。


紗季はなんとか感情を抑えようとしたが、身体は震えて鼻声だった。


あ~…

駄目だ。

今だったら、嫌な事言っちゃいそう…。


その時、静かに見ていたローマネが口を開く。


「…お主は、王なのか?」


…あ、バレたか。


特に隠しているつもりでは無かった為、あっさり答えた。


「…そうだよ。」


ローマネは、ふむと首を傾げる。


「…現在世界の国は5つ。ケープラナ、クデルト、フラワ、ヨッツア、チェイダー。 そのどれなのじゃ?」


…5つしか無いんだ。


ローマネの説明に意外に思いながら、紗季は「それは」と頷いた。


「…私の国は、ウォーター。まだ何もない新しい国だよ。」


その言葉にローマネは初めて表情を崩す。


「…真か。世界に新しい国が生まれたのか…。」


感慨深そうなローマネとは違い、レビュートは何やら難しい表情を紗季に向けた。


「…お前は、王になりたくてなったんじゃねぇのか?」


レビュートの疑問に、紗季はまた感情が波打つのを感じる。


「…な訳あるか!この世界の常識は知らないけど、私は王になりたいなんて一度たりとも言ってない!」


「……そうか。」

(苦労知らずの甘い奴じゃねぇのか…)


レビュートは、更に話を続けた。


「…今は、どうなんだ?」

「何が?」



「…王になりたくねぇのか?」


レビュートからの思いもよらない言葉に、紗季は口をつぐんだ。


今は?…今?


ふと考えた。

この世界に来て、軽く5日以上は過ぎたかな。


まだまだ考えるのには足りない時間である。


でも、そうだなぁ。


紗季は少し微笑んだ。


「…分からないな?」


「…は?」


レビュートは口をポカンと開けた。


その表情に紗季は可笑しくなりながら、ゆっくり瞬きをする。


「分からない。…なりたいなんて言う前に、既に私は王だったし。

…でも、他の国を見てちょっと思った事はあったかな。私は、獣人を奴隷にしたくない、政治を臣下に任せきりにしたくない。 …これは、自分が王じゃないと出来ない事だよね。」


レビュートは邪魔をせず、相槌を打った。

話が終わると、深い息を吐きバツが悪そうに頭をかいていた。


「…あの、よ。」


歯切れの悪いレビュートに紗季は首を傾げる。


「何?」


「いや…あの、くそ!………うっせえ!何でもねぇ!」


結局舌打ちをして後ろを向いたレビュートに、紗季はますますハテナを浮かべた。


何がしたいんだこの子は?


何やら、ローマネは妙にニヤニヤしていたが。


紗季が屋敷から出ようかと思い至った時、部屋の入り口が勢い良く開いたのだった。


「…あの、畏れながらお願いがあります!」

入って来たのは使用人の服装の少女だった。




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