表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウォーター国創世記  作者: 雪香
3章―ケープラナ動乱編―
33/100

魔術の儀式

感想、レビューありがとうございます!

累計PV4万越え。



「それで…手、額、唇…どれが良いのじゃ?」


美麗な顔に見つめられ、紗季は一瞬返事が遅れた。


「…え、あ…何が?」


魔族ローマネは、そんな紗季に笑みを浮かべる。


「…精力をお主から貰うには、儂の体と同じ箇所を触れる必要がある。…場所によっては、時間が掛かる場合があるがのう。」


やっぱり、無難に手かな?


「…手ならどれくらい?」


ローマネは、考える仕草をする。


「…半日かの。明日の昼までじゃ。」


長い!


「…他は?」


ローマネは頷く。


「…額なら今日中。唇ならほんの少しの時間じゃ。体ごとなら、その中間ほどじゃな?」ローマネの言葉に、紗季は難しい顔をしてしまう。


唇はちょっと…。

いや、確かに美形相手だし、嫌じゃないよ?


でも、一応初めてだからなぁ…。


しばらく黙って考え込み、やっと顔を上げた。


「…わかった。体ごと?っていうのにしてみる。」


ローマネは頷くと、紗季の前に立つ。


「…嫌なら言うのじゃ。」


また言ってる…。


ローマネは、腕を広げると紗季を抱き締めた。


…体ごとって、こういう事か。


鼓動を速くしながら、ローマネの顔に目を向ける。


ローマネは浮かべていた笑みを消し、眉を寄せて目を細めていた。

紗季はそれを見て、不思議に思った。


「…精力を身体に移すのって大変なの?」

紗季の疑問に、ローマネはキョトンとする。


「…?何故じゃ?」


「だって、何か辛そうにしてるし。」


違うの?


ローマネは、何とも言えない表情を浮かべたが、顔をスッと戻す。


「…辛いか…顔に出てしもうたか。…確かに、儂は出来ればあまり、触りたくないのじゃ。」


……ん?


「…人嫌いとか?潔癖?」


「否。」


短く答え、ローマネは手に嵌めていた手袋を外し、黒い装束を脱ぎ上半身を露にした。


それを見た紗季は思わず息を呑んだ。

鍛えられ、細身だが筋肉質な体躯には、首元から腕、手の甲、背中にまで及ぶ黒い文様が刻まれていた。





紗季の反応に、ローマネは寂しげに眉を下げた。




「…魔族は生まれ落ちた日、親より魔力を受け継ぐ。魔力は、元来自然と異なる異質な物…呪術を身体に掛けなければ、受け入れられないのじゃ。」


《近付くな!》

《…うわ、魔族だ!》

《気味が悪い…》

《化け物っ》


魔族の寿命は、それぞれ大きく違いがある。


ローマネの一族は短命で、彼以外は既にこの世に居ない。


18年生きたローマネは、一人には誰より慣れていた。


脱いだ装束を戻し、手袋を手に取る。


「…気味が悪いじゃろ?」


薄暗い牢屋の中で、嫌にローマネの声が響き渡った。


そんな中紗季は、ゆっくり口を開くのである。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ