いざ、ケープラナ
一通りトレガーの事を話し終えると、サイラが顔を上げた。
「じゃあ、俺も二人と一緒に行く。女と雌だけじゃ危ないだろ?」
サイラの言葉に、紗季は少し思案顔になる。
ん~
確かに来てくれると心強いけど…
「…あのさ、サイラは国に残ってくれない?」
「…何故?」
不思議そうなサイラに、紗季は続けた。
「サイラがここの官吏をしてくれるなら、城の内部を把握したり、どんな仕事をしたいか考えて欲しいんだ。」
「…そっか。サキがそう言うなら。」
サイラは大きく頷く。
紗季はそれに微笑み、他の二人に向いた。
ネルビアは紗季と目が合うと、 すぐに口を開いた。
「…俺は着いて行っても良い?ケープラナに行った事あるから手伝えるよ?」
あ、行った事あるんだ。
へぇ、と呟き紗季は頷いた。
「分かった。ネルビアは一緒に行こう!」
それを見ていたレビュートは、難しい表情を浮かべて紗季への距離を縮める。
「…俺も行く。お前を知るためには、行動を共にしたい。」
ネルビアは、あからさまに嫌そうに顔をしかめたが、紗季は一瞬目を丸くして直ぐ答えた。
「…別に良いけど。」
いや、でもネルビアと喧嘩しそうだなぁ…。
少し不安になったがセラの事を考えると、ぐずぐずもしていられない為、出発を決める事にした。
「じゃあ、行こう!」
そう言って足を進める途中、紗季は思い出した様にサイラにかけ寄った。
「そうだ、此処にはルピアっていう魚人の官吏が1人いるの。だから、彼と会って貴方の事とか説明しといて?」
城は広いから、探すの大変だろうなぁ。
「分かった。任せてくれ!」
元気に返事をしたサイラにほっと安堵し、紗季は待っている三人の元に向かった。
城を出ると、セラがすぐに翼を大きく広げる。
「では、ケープラナに参りましょう!」
「あ、うん!」
紗季が頷くと、ネルビアが不意にそれを制した。
「ちょっと待って?」
「どうしたの?」
何か忘れ物?
振り返り首を傾げた紗季ではなく、ネルビアはセラに顔を上げた。
「何でケープラナへ?クデルトじゃないの?」
ネルビアは神が言ったクデルトを目指さないのに、違和感を感じたのだ。
セラはそれを察して、深く頷く。
「…確かにキリス様はクデルトに向かいましたが、実際はケープラナに行くからです。」
ん?
あれ?どゆこと?
セラは紗季に顔を向けた。
「キリス様はクデルトで用を終えたら、ケープラナに行くと行っていたのです。だから、今頃はケープラナの筈なのです。」
  
…ふぅん。
黙っていたレビュートが口を挟んだ。
「…用事とは?」
その疑問に、セラは表情を暗くした。
「…私には分かりません。キリス様は教えて下さいませんでした。」
意気消沈したセラに、紗季は明るい口調で返す。
「まぁ、分からないなら仕方ないしね!とりあえず、ケープラナに行こっか?」
紗季の言葉に、場の空気は明るくなりセラは笑みを浮かべた。
「…はい。行きましょう!」
そして、皆はセラの背に乗り込んだのだった。
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