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ウォーター国創世記  作者: 雪香
2章―クデルト道中編―
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鳥人娘と再開


クデルト国王が居なくなり、その場は片付けに皆精を出していた。


サイラと紗季は、すぐに獣人の元に駆け寄った。


「兄貴!」


獣人はサイラの声にやはり反応は無く、ただその場に立って前を向いているだけである。


それにサイラは眉を寄せ、紗季はじっと獣人の様子を見てみた。


「サイラ。」


紗季の声を聞き、サイラは慌てて表情を明るくする。


「…あっ!気にすんなよ?紗季は悪くないからな…他の方法を探そうぜ!」


…いや、無理してるの分かるって。


「私が治す。」


思ってもいなかった紗季の言葉に、サイラは目を見開き身体を固くする。


「…できる…のか?」


微かに震えた声音に、紗季ははっきり頷き返した。


「任せて。」


今度は、私が貴方を助けるから。


サイラは一度唾を飲み込み、黙って兄を背に負った。


それでも獣人はサイラに掴まりもせず、されるがままだった。


「…どうすれば良い?」


真剣な眼差しのサイラに、紗季もまっすぐ見つめ返す。


「…まずは、ネルビアの所に戻る。…そしたら、ウォーター国に行く。それからだね…。」


ウォーター国…とサイラは口に出し繰り返した。


二人はすぐ行動を開始し、ネルビアの居る場所に早足で向かい、すぐに着いた。


「…あれぇ?サキちゃんおかえり~。」


そこには、のんびりと椅子に座るネルビア。

そして…


「…サキ様!」


「っセラ!」


鳥人のセラが居た。


紗季はセラを見つけると、すぐにセラに走り寄る。


「セラ!ごめん…私が、クデルトに連れて行ってなんて、言ったせいで!」


いいえ…とセラはゆっくり首を振った。


「…そこのネルビアに聞きました。ずっと、紗季様は私を助ける、と言っていたと。…普通の人間なら、獣人の身など放って置くのが当たり前なのに。…嬉しかった。」

瞳を潤ませて微笑むセラに、紗季も思わず涙を堪えた。


こっちこそ、ありがとう。


「…セラ、ごめん。トレガ-を探すの少しだけ、待ってて?」


少し困った表情の紗季に、セラはサイラを見つけて何かを察して頷いた。


「分かりました。紗季様は私を見つけてくれましたから、信じます。」


セラの言葉にホッとして、紗季は今までの経緯を話し始めた。


途中、クデルト王の話しになると、セラとネルビアは一様に顔をしかめていた。


全ての話しが終わった時、ネルビアが口を開いた。


「…なるほど。そのウォーターに行けば、彼は助かるんだねぇ?」


不思議そうなネルビアに対し、セラは納得した様に頷く。


「…では、私が皆さんを運びますね。」


え…?


「いや、セラ。…怪我は?」


紗季の戸惑いに安心させるよう、セラはにっこり笑った。


「獣人は人より丈夫ですから。もう大丈夫です。私にさせて下さい。」


セラの本気を感じとり、紗季は最後には頷いた。


「分かった。無理ならすぐ言う事!」


「はい。」


そして、紗季達はウォーター国に向かう事になった。






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