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ウォーター国創世記  作者: 雪香
2章―クデルト道中編―
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競売の後に

累計PV1万越えありがとうございます!



黒曜石…


その名前に静まった会場に、進行役の男だけは顔を綻ばせた。


「では、雌の鳥人は黒曜石で決まりました!」


隣にいた少年は、まだぐずぐずと駄々をこねていた。


「爺や~僕も欲しかったよー!」


紳士は仕方なさそうにため息を吐き、やんわりと宥めている。


「…いくら若様でも、黒曜石は手に入りませんよ。」


紳士の言葉に、少年はふて腐れた。


「父上に言えば良いじゃん!」


騒ぐ少年を脇目に、紗季とネルビアは交換場に向かう。

交換場には、イカサマをしない為か鑑定士らしき者もいた。


その者は紗季から黒曜石を受けとると、じっくり眺めると感嘆の声を上げた。


「…確かに本物だ。獣人なんぞよりよっぽど価値がある。」


鑑定士はすぐに、セラを連れて来るよう他の者へ指示した。


「お買い上げありがとうございました。」


商人達のそんな声に、紗季は適当に頷いてすぐにセラに近付く。


「…セラ。」


彼女の曲がった羽根、身体の傷が目に入る。


…生きていて、良かった。


用の済んだ商人達はさっさと居なくなり、その場は紗季達だけになった。


「セラ。」


紗季は、意識の無いセラに顔を近付けて名を呼ぶが、それでも中々目を覚まさない。

困惑する紗季に、ネルビアはセラを覗き込んだ。


「…もしかしたら、薬を盛られてるかもねぇ?」


え…薬?


目を見開く紗季に、ネルビアは頷いた。


「睡眠薬か、麻痺薬か…。」


ネルビアの話しに、紗季は眉を寄せていく。


酷い事をするものね…

最低…!


セラの羽根を労るように撫でていると、入り口からサイラが入って来た。


それに気付いたネルビアが顔を上げる。


「…どうだった~?もう終わったのか?」


ネルビアの軽い口調とは裏腹に、サイラは拳を強く握った。


「…ネルビアさん。…っ兄貴が、いないんです!」


サイラは情けなく眉を下げて、頭を抱えた。


「…どうしたら、良いんでしょう?」


ネルビアは、ふむ…と手を口元に当て首を傾げる。


「…今回は出されないのかなぁ?」


そんな…と悲痛な声を上げたサイラに、紗季の考えは違った。


いいから、探してみろや!


スッと立ち上がると、サイラの目の前に止まって相手をじっと見つめた。


「……何だよ?」


「ちゃんと隅から隅まで見た?」


「え…いや。」


じゃあ…と紗季はサイラの腕を掴んだ。


「もう一回行こう!ここでうじうじしてるなんて、時間の無駄。」


え、とサイラが声を上げたが無視し、紗季は歩き出す。


そんな紗季に、ネルビアは首を傾げた。


「サキちゃん、俺はぁ?」


そんなん決まってるっしょ。


「セラ見といて!」


紗季は素早く返事をした。

そして、サイラを引きずる様にまた、会場を周り始めたのだった。







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