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ウォーター国創世記  作者: 雪香
1章―はじまり―
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消え去った仮側近



紗季はトレガーの居るはずの部屋に、足を踏み入れた。


「戻ったよ~!」


しかし、それに答える筈の人間は誰も居なかった。


…あれ?


不思議に思った紗季は、ベッド、室内、箪笥の裏と目を移したが、人の居る気配は無い。


…トイレか何処か行ったのかな?


そう思い踵を返そうとした時、ベッドの脇にある紙を見つけた。

紙にはウォーター国の王へ…と始められていた。


《ウォーター国の王へ

1人思案した結果、やはりケープラナを思う自分に気が付きました。

今のままでは、とても御身の役に立てるとは思えません。

その為、けじめをつけに行きます。お世話になった恩は生涯忘れません。

キリス・トレガー》



はぁ?!

ちょ待てや!


紗季は紙を握り締めた。


何なの勝手に!

あんなボロボロで何処行ったわけ?

…けじめって何なの?


機嫌が断トツに悪化しながら、トレガーの居たベッドを見つめる。


「役に立ってたっつの……私が1人じゃなくなったじゃない…。」


…お待ちしています。

って言ったくせに。

嘘つき。


しばらく俯いていたが、次に顔を上げた時には目を光らせた。


逃がさねぇぞ、あのヤロー!


紗季は勢い良く扉を開け放ち、城を飛び出した。


何処からともなく、美味しそうな匂いが漂ってきたがこらえ、ある場所に向かった。


その場所に着くと、すぐに駆け込んだ。


「…出て来いや、神ぃー!」


神殿の水晶に触れながら紗季は叫んだ。


のんびりと出て来た神の方は、ヘラヘラと笑みを浮かべていた。


「あれ?どうしたの凄い顔だけど~逆ハーになった?」


…こいつ!

イラッとしながら、紗季はなんとか落ち着き神を見据えた。


「今すぐ、キリス・トレガーの居場所を教えて欲しいの。」


紗季の言葉に、神の瞳が興味深そうに煌めいた。


「…あれ?逃げられたの?」


「はぁ?逃げられてないし?」


紗季は半目になりながら、先ほどのトレガーの手紙の内容を話し、神はただ黙って聞いていた。


話しが終わると、神は軽い口調で話し出した。


「じゃあさ、もう放って置けば?所詮元々は他国の人間でしょ~。また新しい側近探せば良い事じゃない?」


「それは嫌!」


思わず叫んだ紗季は、ハッとして口を押さえた。


そして言い訳するように続ける。


「ほら、すぐ見つかるとは限らないし!美形だし、真面目そうだし!」


「でも、関わっていたの1日くらいだよね。」


神の言葉に、紗季は瞳を揺らした。


そういえば、そうだ。

何で私必死になってんだ?

…らしくない。


…でも


「私がしたいからする。それだけの事だから!

…早く教えて!」



迷いを振り切る様に、真っ直ぐ自分を見る紗季に、神は目を丸くしてから口角を上げた。


「…分かった。彼はね、今はケープラナに続くクデルトという国を通った所だよ。」


クデルト…と繰り返し、紗季は神殿の入り口に向かった。


早足で進んでいた時、何故か突然足が止まる。

そして振り返り一言。


「…クデルトって何処?」






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