人を殺す仕事
医学的、心理学的にはかなり強引且つ雑な解釈を含みます。
ご注意ください。
私の仕事は人を殺す仕事だ。
「苦しいです」
「何も食べたくありません」
「生きている意味がわかりません」
そんなことを言ってくる人間の話を聞く。
ここに来る人間の話なんてどれも似たり寄ったりだけれども。
「朝も起きれません」
「夜も眠れません」
「身体が動かないんです」
そうなってしまえば人間はおしまいだ。
だから、私はその人を殺す。
薬で。
人々は半信半疑の顔のまま薬を持って出ていく。
「良くなるんですか」
そう聞かれることもある。
だから、私は答えてやる。
「うつ病は良くなりますよ」
治りはしないけれど。
長い時間をかけて弱めることはできる。
見送りながら私は思う。
思い続ける。
純粋な心が病んだ結果が病なのだ。
なれば。
その病を改善することは果たして。
その人を殺すことなのではないかと。
純粋なものを捻じ曲げるのだから。
そう思いながら。
今日も私は人を殺す。
お読みいただきありがとうございました。
前書きにも書かせていただきましたが、この作品は医学的、心理学的にはかなり強引な解釈で書かれています。
一方でうつ病患者でもある私個人の思想を強く押し出したものでもあります。
初めて医師から薬をもらった時。
私は純粋に思いました。
『良くなること。それは今の自分を殺すことではないか?』
と。
苦しくて仕方なかったのは事実です。
しかし、私は良くなりたかったわけではなかったと思います。
死にたくて仕方ない。
その望みを叶えたい。
そんな気持ちが強かった。
故に『そんな考えはうつ病からです』、『だから薬を飲みましょう』という当時の主治医の考えには酷く違和感を覚えました。
私は今も死にたいです。
今すぐにでも。
けれど、例え『改善される』としても、この気持ちは失いたくないです。
重ね重ねお読みいただきありがとうございました。




