底辺クラス(三)
三人で校内を回ると目立っていた。その理由は隣で周りの人に睨みを利かせてるガイルの存在が大きい。出来れば目立つことなく動き回りたかったが無理。その中でも、唯一の救いは校内にある様々なことに興味を関心を感じているリサの存在が大きい。例えば図書館に立ち寄ると童話や魔物の図鑑、地理、歴史といった様々な本がある空間に感動していた。
「こんなに沢山の本を三年間で読み切れるかな?」と冗談で言っているのか本気で言っているのか意味わからないことを言っていた。
「それは無理じゃない?あくまでも学びたい知識の補填として俺だったら利用するかな」
「アレンは新たな知識を学びたいと思わないの?」
「う~ん…自らの探求心はないかもしれない」
「そうなんだね」
「でも面白い本があったら紹介してほしい」
「わかった!」と話し終えて図書室から出た。
こんな感じでリサが明るく話かけてくれているので周りの人も安心してくれていると思う。
俺でも、客観的に見てもリサのこと虐めているように見える
その後も歩いて校内の様子を見ていると気になる店に着いた。
店の中に入ると生徒たちが沢山いた。
俺たちも中へ入るとそこには日常品が大量に置いてあった。授業で使う鉛筆やノートはもちろんコップや鍋などの調理道具の他にもバスルームで使用する品物が大量に置いていた。
するとリサは香水コーナーで足が止まった。
「この香水、貴族の間で人気ていうのを聞いたことあるわ」と言った。
「何か高級そうだね」
「それはそうでしょう。だってこの香水は…あれ?値札の表記間違っている?」とリサは困惑していた。
リサの言う通り他の商品の値札にも外食の時に見た表記とは明らかに間違っている。
俺たちが不思議そうに見ていると背後から二人組の男に話しかけられた。
「お前ら底辺クラスだろ」と明らかにこちらを馬鹿にした態度で言ってきた。
「何?」とガイルが俺の前に出た。
「入学式の時キレた人狼だよなぁ」
「お前は目立っていたからな。すぐに底辺クラスだとわかったぜ」
「何だと~!!!」とガイルが怒っている…。いや、わざと挑発的な事を言って怒らせようとしている。
周りにいた生徒も野次馬のように集まってきた。
(マズいことになった)
一刻も早く手を打たないと…。俺も関係者として何かの罰が与えられるかもしれない。
(正直、俺の命令でガイルは抑えることは出来るけど…目立つのはまだ…早い)
どうしようかと頭の中で考えていると、「少し落ち着こうか?」とこの緊迫の中で話しかけた人がいた。
そいつは入学式で新入生代表挨拶をした。確か名前は…。
「レオン…」
「確かアイツ首席だろ」と二人組の男が急に黙った。
「ああん?誰だテメェ」とガイルがレオンの事を見た瞬間、目をまんまるにして黙った。
「確かに僕の事知らないのも無理はないね。入学式の時は大丈夫だった?体調が悪かったのかな?」とガイルに堂々と話した。
「いや…大丈夫だ」とガイルは二人組の男から離れて俺の後方に下がった。
「ここはお店の中だ。店員の人たちにも迷惑かけてまで差別を用いた発言を僕の前でしないでもらいたい」と俺たちに向けて叱った。
そういうと二人組の男は店の中から出ていった。
「あの。ありがとうございました。レオン様」とリサが頭を下げて謝っていた。
「いや、最初から見ていたからあの二人が悪いのはわかっている。だから頭を下げなくていい」とリサに優しく接した後、俺の方をみた。
「君は、何者なんだい?」と初対面なのにいきなり意味わからない言葉を言ってきた。
「俺は何者でもない。ただの人間だ」と面白みのないことを言った。
「まぁ…今はあえて追求しないでいこう」といいレオンの連れの人たちとその場から出ていった。
「俺たちも今のうちに出るか?」とリサに向けて言うと、「そうだね」と返事をしてくれた。
俺たち三人は店の中から出た。
次に食堂に向かう前にガイルに聞いた。
「ガイル聞きたいことがある」と尋ねると、「何だ?」と返事をした。
「レオンは強かったのか?」と質問した。
するとガイルの顔つきが変わって「強い…」と一言だけ口にした。
「アレンとレオンどっちが強いと感じたの?」とリサが質問した。
「その答えはわからない。少なくともアレンもレオンも敵にしたくない」と口にした。
「ただ、個人的にはアレンの方が従いたい気持ちがあるぜ」と笑顔で最終的に個人的な意見で締め括った。
レオン・スクロフト……覚えておこう。