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底辺クラス(一)

 入学式を終え教室に向かった。幸いにも制服等にクラスごとにネクタイの色が違うようなことはないので、こうして歩いても差別はされない。ただこの状態は今だけだ。入学式に暴れた人外のように目立つと差別の対象として見られることはあると思うが流石に三年もいると他クラスの顔も覚えるようになるだろう。先ほど理事長ノアが「底辺らしく過ごすことをおすすめする」と言っていたのは理解できる。ようするに目立っていると学園生活楽しめないと最初で最後のありがたい忠告だ。


 底辺クラスの教室の中に入ると既に友達が数人でグループが組まれていた。


 俺は誰とも話すこともなく一番後ろの端の席に座った。


 窓から見える木を横目で見てると隣に女子がいた。外見は金髪ポニーテールで小柄だ。


「あの、すみません隣に座ってもいいでしょうか。もし友人がいるなら別の席に移動します」と申し訳なさそうに俺に言ってきている。


「そんなことないよ。実は俺も話し相手が居なくて困っていたところだ」


「そうなんですね。それじゃあ隣に座りますね」といい彼女は俺の隣に座った。


「隣の席になったので自己紹介をしますね。私はリサ・グリーン。学園(ここ)から遠く離れた小さな田舎に住んでいたわ。好きな食べ物は甘い物よろしくね」と俺に向けて優しい笑みを向けた。


 自己紹介を終わるタイミングで俺も自己紹介をした。


「アレン・ロウ。俺も小さな田舎から来た。好きな食べ物は考えた事ないが、得意な魔法は闇魔法だ。三年間よろしくお願いします」と自己紹介が終わった。


「私たち田舎から来たんだね」


「そうだな。俺が住んでいた所は数人しかいないような所だった」


「私が住んでいた場所は村長がいて名物は羊乳チーズだったの」


「羊乳チーズか、食べたことないな」


「ホント?だったら…はい!」とカバンの中から小包に入っていた小さめのチーズを渡された。


「これは…?」と首を傾げた。


「先ほど食べたいと仰っていたので故郷から持って来たチーズよ」とリサは笑顔で言った。


「いいのか?故郷から持って来た大事な物なんじゃないのか?」


「いいのいいの!実は私このチーズ小さい頃から食べて飽きてるの」といってくれた。


(そういうものなのか…)


「じゃあ、リサさん有難くもらう」といいカバンの中に貰ったチーズを入れた。


「何かリサさんじゃなくて、リサって呼んで欲しい」


「じゃあ、俺のことはアレンと呼んでくれリサ」


「わかった。アレン」


 順調に会話を続けていると扉が勢いよく開いた音がしたので見ると入学式の時に問題児だった人外が入ってきた。


 赤毛に覆われている筋肉質の人外は入ってくるなり教室全体を見渡していた。


 そして何故か俺たちの方に来た。


「お前の名前は?」と人外が俺の目を見て聞いてきたので「アレン・ロウだ」と答えた。


「アレンだな。俺はガイル苗字はない。見ての通り人狼だ」と自己紹介をしてくれた。


 人狼は学園(ここ)から離れた人が入らない森の中に生息し人間のように村を作って生活している。ただ近年になると人の労働力で安い賃金で働かされている。


「それで?何できた。まさかリサの容姿に見惚れたか?」


「ええぇぇーーー!」とリサは驚いていた。


 人狼は雌好きだ。繁殖期になるとオス同士で相手が気絶するまで戦いになるとか。


「違う。俺がここに来た目的はただ一つアレン!」と急に大声で名前を呼ばれた。


「そんな大声を出さないでくれ。リサも怖がっている」とリサの方を見ると目がウルウルとしていた。


「それはすまない」と謝った。


 もしかしたら案外扱いやすい奴かもしれない。


「アレンがこの教室で強いからだ」と訳のわからないことを言っている。


「何で俺が強いと理解出来るんだ?」


「俺は人狼だ。頭のいいアレンなら聞いたことあるだろ。人狼は強いご主人には従うと、そして野生の嗅覚で相手の力量はわかると…」と言った。


 確かに、人狼には自分よりはるかに強い強敵には手を出さずむしろ忠義を示す傾向がある。


「じゃあ仮に俺が強かったとしてガイルは友達になりたいのか?」


「違う!俺はアレンに忠義を尽くす」と誇らしげに答えた。


「…まぁ勝手にしろ」と言った。


 すると先生が来たので、ガイルは俺の前の席に座った。





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