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研究室と坊ちゃまの発明魂

午後の授業が終わり、生徒たちが思い思いに帰寮の準備を始める中、レオンは学園内の研究室棟へと足を運んでいた。


「ふふ、ようやく僕の才能を最大限に発揮できる場所へ来たか……」


「坊ちゃま、何か企んでいませんよね……?」セリスは眉をひそめる。


「違う違う。ただ少し、自主研究を進めようと思っただけだよ。君も知ってるだろう? 僕の発明意欲がいかに高く、いかに未来志向であるか」


「はい、それがどれほど周囲を巻き込むかもよく存じております」


用意された研究ブースには、魔導器の基礎素材や薬品類、簡易的な魔法陣の転写用具などがずらりと並んでいた。


レオンは早速、アイテムボックスから様々な部品を取り出し始める。


「セリス、これを見てくれ。魔力変換型の多用途洗浄装置——通称マジック・バキューム Mk-II!」


「……また掃除道具ですか?」


「ただの掃除道具ではない。今回のは失敗作ではない! ちゃんと使用者の魔力量に応じて吸引力を調整する機能がついているんだ」


「……前回は吸引力が強すぎて床がえぐれましたけど?」


「今回は安全設計だよ。さっそく試してみよう!」


そう言ってスイッチを入れた瞬間——


ブゥゥン……という控えめな起動音のあと、一瞬は静かだった。


しかしすぐに、機械から黒煙が立ち上り、床に固定していた装置のパーツが飛び出して壁に当たり、カンッという金属音を響かせた。


次の瞬間、空気の吐き出し口から猛烈な風が吹き出し、室内の誇りや紙片が一気に舞い上がる。さらに、洗浄液が床一面に広がり、棚の上に置かれていた書類や道具にも飛び散った。


「坊ちゃまーーーっ!?」


「……これは想定外だな。安全装置の魔方陣、逆に働いたか……」


「言い訳は後です! まずは止めて、そして掃除です!!」


「仕方ない。セリス、手伝ってくれ。君の防御魔法で水の拡散を防いでくれないか?」


「最初からそうしてくれれば……っ!」


セリスは急いで魔法を展開し、飛び散る泡と水、そして宙に舞う誇りを壁際に押し戻すようにして制御。濡れてしまった書類を回収しながら、深いため息をついた。


「また、謝罪と報告書類が山のように……」


「セリス、これは未来の清掃技術の進歩の第一歩なんだ。そう、失敗は成功の母ってやつさ」


「母にする前に、まずは反省してください」


研究室には、泡と誇りの匂い、そしてセリスの疲労が濃く漂っていた。

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