第五話 借金......だと?
些細な争いからの自己語り、騒がしい一夜の後ゆっくりと眠る、やがて朝日が訪れる。それぞれを整ったら再びセクルの町へ行く。
なん~に、今回は本気だ。遊び気分で進めているのはまだ変わらんですが、無事に辿り着けるさ。さすかにまた寄り道が出てきたら俺さまさえも嫌われちゃう。
夜(ポポを抱きながら):
「ふんっふふふふん~~」
ポポ:
「ぷうっぷぷぷう~~」
夜:
「あっ着いた、セクルだ!」
「早く行こうッ!」
朧:
「あっ待ってッ」
セクル、エニシアの南に位置する朧たちとの縁が深い小さな町。一つ川で半分二つに割れられ、農場、牧場、商店なんぞいろいろそれに沿って輻射状に並んでいる。
魔物防ぎ用の外壁にでも包まれ、どいつもこいつも異世界によるよくある田舎さ。森の中ですけど。
ポポ(テンション高そう):
「ぶうぶう~!」
ミノリ:
「うん~~花と稲穂の香りが混ぜていい匂い~」
「ここは朧さんたちが住んでいる町ですか、なんが優しい風が頬っぺを揉めて穏やかな気分」
「きっと、居心地の町に間違いいません」
朧:
「あはは、別に住んでる訳じゃん......俺とポポは爺さんと一緒に山で、夜なら東方のエルフ集落」
「まぁ、結構世話になってるんだし、町の皆と仲良く馴染んでいる。気にいってくれて嬉しいぞう」
「でもそろそろ『さん』って捨たらどう?」
ミノリ:
「いいの?じゃ......朧?」
朧(親指を立つ):
「おう!」
夜:
「ほら、あんたたちもゆるゆる喋らないで。ギルドはもう目の前だよ、早くついてきなさい」
ポポ:
「ぷう~」
朧:
「ふはは、はい~はいっ」
冒険者ギルド、各個国家で連合成立しそれぞれから独立するシステム。魔神戦争の故にもたらす人手不足の為、一般人でもテストをくぐり抜けたら『冒険者』という戦闘職が許されギルドへの統一管理になされています。
魔神戦争はも終わったというとも、魔物との生存戦争がまだまだですからね。
正規軍と同じと見なされて、かなりの自治権が与えられている。魔物とホロとの戦いも約束なんですけど......やっぱり無職人にも放っておいて訳にはいけないでしょう、せっかくの平和だし、また暴動なんかもうごめんなぁ。
とりあいず、管理とか堅そうな単語もあるけど......でも『自由』っていうテイマーは誰にも奪わせないぜい!
夜:
「おはよう!ただま!」
ポポ:
「ぷっぷぷう!」
ミノリ:
「いえ、ただまって。」
朧:
「気にしない気にしない。」
ボルゴ:
「おやおや、随分偉そうな見立てになったな。いよいよ覚悟ができたか、小僧。」
「それに......見慣れない顔のも......。」
ミノリ(睨んまれでいる):
「え......。(なんか怖っ、このおじさんよそ者嫌いな方なのか?)」
朧:
「あはは、からかう好きな顔をもうやめようボルゴのおっさん、友たちが怖ってるから。」
「ミノリも気にしなくて良い。こちらはボルゴ・イゼルテさん、この町の住人にして俺たちのお知り合いだ。」
「ちょっと怖い振りでも......いい人だ。」
ボルゴ:
「ハハハハハ――!悪い悪い、やり過ぎたんだ。外の人あんで久しぶりから遂に......驚かせてすまんな。」
「そして、ミノリのお嬢じゃんですか。ふん~、また可愛い子を連れて来たんだ、この幸せ者めぇ。」
朧:
「いや......」
ミノリ:
「えっど、初めましてボルゴさん。申しますありませんですが......僕、男です。だから......その......」
ボルゴ:
「えー!!!」
朧:
「俺たちもびっくりしたわ、最初から。」
ボルゴ:
「へえ~、そうか。いや~、さすかなこれ。よもや男なんで、世はあるもんだね。」
「でも大丈夫、おじさん、応援するぜい。」
ミノリ:
「いえ、応援なんって......」
まったくこの男は、いつでも油断できないやつ。
ボルゴ:
「改めていらっしゃい、僕ちゃんも朧と一緒に冒険者になり来たんだかい?」
ミノリ:
「あ、はい。」
ボルゴ:
「ほう......なら、ようこそ地獄の入り口へ!受付ならそちの窓口へ。」
ミノリ:
「あはは、ありがとうございます。」
スズメラたち:
「ジュ――!ジュっジュ!」
夜:
「お早うチュチュちゃんたち、まだ元気ですか。」
ポポ:
「ぷうー!」
スズメラたち:
「ジュ――!」
ミノリ:
「あれ、スズメラ?なぜ魔物がここに?それに......ウェイトレス服?」
夜:
「ミちゃんは知らないだっけ?」
スズメラ、雀タイプの魔物。体格はポポより少し大きい、まるまるでたわわな感じ。魔物とは大抵敵対関係なんですけど、たまにはこのような人と通じ合い助け役に身を投げる魔物もいます。
スズメラたちもその一員、務めはギルド酒場のウェイトレス。
ミノリ:
「以前本で読んだ記憶の覚えがありますけど......実目で見るには初めて。」
スズメラ:
「ジュジュー!」
ミノリ:
「こんにちわスズメラさん。」
夜:
「すずちゃんでいいよ、『チュチュ』は私専用だからダメよ。」
???:
「何時でも賑やかになれるじゃん、お前たちは。」
夜:
「は、モモちゃんお早う!」
ポポ:
「ぶっぶう!」
モモさん、モネロ・キイというフル名を名乗っているドワーエルフ。夜と違う体が小っちゃ、ドワーフぐらい。でも、バカ力の代わりに魔法が得意なんです。
もし......夜は森と緑色なら、モモさんは岩と黄色かなぁ。え?夜は緑だっけ?まっまぁ、他に色持ちエルフが存在するので、出会ったらまだ話しましょう。
モモさんも子供の時期から夜たちの面倒を見に続けていたおばあ......いえ、お姉さんみたいなお方です。(ふう......突然睨まれて怖い。女はいつも時間アレルギーなの?)
朧:
「モモちゃんお早う。」
モモ:
「おはよう。っで、こちらは新入りの......ミノリちゃん?」
ミノリ:
「あっはい、おはようございますモネロさん。」
モモ:
「お早うミノリちゃん、モモでも構わないよ。」
「ではもう一度セクルへようこそ、うちの子達もこれからよろしく頼むじゃん。」
ミノリ:
「うちの子達......?」
夜:
「チュチュちゃんたちの事さ、だってモモちゃんはここの女将だもん。」
スズメラたち:
「ジュっジュー!」
ミノリ:
「こちらこそ、よろしくお願いいたします。」
朧:
「そういうかモモさん、これ何かが分かります?爺さんもよく知らないと言った」
朧は腕輪を表せてモネロに展示する。
夜:
「あっ例の痣から何か出た、なんだそれ?」
朧:
「俺に聞くなよ。それに外れないんだ、これ。出させたり収めたりぐらいの事ができるけど、どうしても俺がコントロールできた仕業と思わない。」
「これを突き止めるのも旅の理由の一つ。」
モネロ:
「これは......?」
朧&夜:
「これは......!」
モネロ:
「うん......うん、分からん、えへ~。」
ありゃ、分からないなら正直に言えばいいのに、可愛く誤魔化すなんでどうする。あの意味深いな顔も......。
ミノリ:
「これは......?もう少し拝見させて貰いませんが?」
朧:
「えっこれ、わかるの?」
ミノリ:
「この模様......どこて見てことがありますような......」
朧:
「どこ!?」
ミノリ:
「何らかの文字みたい、でもどこか......うん......」
うん......!?
モモ:
「ほら、ジード悩んでもどうにもならんじゃん。あんた達冒険者になり来たんでしょう、だからさっさと登録しろ、答えもきっとそのうちじゃん。」
朧:
「そなもんね、よーし行こうか。」
夜、ミノリ&(ポポ):
「おー!(ぷうー!)」
ふう......ナイスサポートモモさん、こんな早めにネタバレされたらヤバいぞう、いろんな意味で。さてっと、次は受付のリリナ・ミエナリの方へ。
リリナ:
「お早う皆さん、冒険者ギルドへようこそ。今日のご要件は?」
朧:
「おはようリリナさん、冒険者をなりしに来た。」
リリナ:
「お連れのお嬢さんも?」
ミノリ:
「そうなんですけど......でもあの......。」
リリナ:
「うふふ、大丈夫分かりますよ、先の対話聞いたですから。あまりにも可愛くて、遂にからかう気になちまった。」
「うくくん、では登録手数料を。」
朧:
「あい、登録手数料......登録手数料。ミノリはどう、持っているか?」
ミノリ:
「えっど......ずっと流浪中ですから......その......。」
朧:
「そか、大丈夫俺が払っていい。登録手数料二人分......。」
ミノリ:
「面目ない。」
夜:
「うんじゃ、あたしもう!」
朧:
「お前もかよう?」
夜:
「もちろんでしょう、逃げ出したがら決まりじゃん。」
朧:
「(こいつー!)ポポは......」
ポポ:
「ぷう?」
朧:
「必要なさそうな、じゃ、三人分......ス――(やべぇ、金が足りない)。」
「あの......美しく優しい~リリナ姉さん、ここは少し割引を......」
リリナ:
「ふふ、だ~め~で~す。」
...... ......
解説くん:
「うわぁ、いきなり壁にぶつかちゃったのか、それに最も硬い類の『金が足りない』という鬼壁。」
「大人世界の残酷さ、ちゃんと味わうがいい。」
作者:お待たせしましたごめんねぇ、仕事が忙しくて......。
解説くん:何もかも仕事に押し込んで本当に大丈夫なの?
作者:......うるさ――い。