20年後からの恩返し(縦読みマンガ原作)
縦読みマンガを想定した原作脚本になります。
【作品タイトル】
『20年後からの恩返し』
【ログライン】
夫に浮気された挙句、騙されてカモにされたサレ妻が、20年後の未来からやってきた夫の妻の妹の息子――夫の息子だと勘違いしていた少年と結託して復讐を果たし、恋も実らせる。
【作品の売り】
• サレ妻ではなく、サレ妻がよくしていた少年が復讐心を燃やし、未来から救いにくるという変化球
• 夫も不倫妻も人生をめちゃくちゃにされて、けれども主人公だけは本来の歴史よりも状況が好転していく報われた感と爽快感
• 幼き日の恩返しをする中で少年がヒロインに恋をし、ヒロインもまた成長した少年に惹かれていくじれったい年の差ラブロマンス
【あらすじ】
大手企業の重役に就く俊介と恋人になり、プロポーズまでされて、幸せの絶頂にある美優。
しかし、俊介からほかに好きな人がいて既に妊娠間近だから別れてほしいと言われて、美優の幸せは崩壊する。
別れた後も、ふたりの子どもである海人はなにも悪くないから、と頼まれれば惜しまず援助金を送る美優。ところが、海人は俊介たちの子どもではなく、俊介の妻の妹の子どもだった!
人生に絶望し、死のうかなと考えながら眠りにつく美優。次に目覚めたとき、目の前に知らない男がいた。彼は、美優を救うために二十年後の未来からやってきた海人だった!
ふたりに復讐するという海人に、自分も協力する意思を示す美優。
はじめは海人ひとりにつらい思いをしてほしくないという気持ちが動機であったが、俊介夫妻が裏でしていることを知るうちに、美優は制裁を下したいという思いを強める。また、海人と同じ時間を共有する中で、少しずつ恋心を芽吹かせていく。
《1話あらすじ》
【起】
大手企業の重役に就く俊介と恋人になり、プロポーズまでされて、幸せの絶頂にある美優。しかし、入籍目前にして俊介が結婚できないと告げてくる。ほかに好きな人がいて、しかもその相手は妊娠間際なのだという。殺したいほどに俊介に強い苛立ちを覚え包丁を突き刺そうとする美優だが、のちに生まれてくる子どものためを思い、包丁を下ろす。
【承】
事の全容を明かす俊介。聞けば、妊娠費用が足りず下ろそうか悩んでいるとのこと。
それを聞き、美優はお金を貸すから出産するようにと釘を刺す。自身も過去におろした経験があるため、それが如何につらい選択なのかわかっているからだ。
海人が生まれる。俊介から養育費の援助が欲しいと頼まれれば迷わず払い、代わりに海人と遊ぶ時間を設けてもらう美優。どうして浮気野郎に……という苛立ちは徐々になくなり、海人と逢いたいがために美優は進んで費用を払いつづける。海人に逢えるなら、と生活のひっ迫も厭わない。
【転】
ところが、あるときを境に海人と逢うことができなくなる。
そんな中、美優は海人と歩く女性を目にする。聞けば、彼女は海人の母親なのだという。そこで、美優は自分が俊介に騙されていたことに気づく。彼女は、俊介の妻の妹だった。
ボロカスに言われて反撃したくなる美優だが、「ふたりとも喧嘩しちゃだめだよ」と幼い海人に諭されて泣く泣く反撃を諦める。美優は海人の頭を撫で、「さようなら」と告げる。
【結】
生きる気力を失い、いっそのこと死んでしまおうか、なんて思いながら眠りにつく美優。
翌朝、目を覚ますと知らない男が美優を背中から抱き締めて隣で寝ついている。
「誰っ!?」と困惑する美優。
【見せ場】
夫と不倫相手の息子かと思っていたら、不倫相手の妹の息子だった、という意外な展開。
《2話あらすじ》
【起】
隣で寝つく知らない男を警戒する美優。どこか俊介と似ている気がして嫌な気分になる。
目を覚ますなり、瞳を潤ませて「よかったぁ」とつぶやく男。男は、自分が二十年後の未来からやってきた海人だと美優に伝える。
【承】
保育園に出勤する美優。海人のことが気にかかって仕事に身が入らない。
夕方、海人が美優を迎えにやってきて「すごいイケメンだ!」と職場が半狂乱状態になる。しかし、美優を迎えにきたと知った途端に静まり返る。海人が三人目の彼氏であるためだ。
蔑みの目を向けられて美優がみじめな気持ちになっていると、「美優さんも弱っているんです。ここは手を貸し寄り添う場面ではないのですか」と海人は酷薄に言い放ち、美優の手を引いて駆け出す。その姿に、幼い海人が弱った犬を迷わず助けにいった姿が重なる。
「美優さんの手、こんなに小さかったんですね」と海人に言われて、美優は「貴方の手が大きくなったのよ」と笑いながら言い返す。この日はじめて美優が笑顔を見せたことに、海人はほっとする。
【転】
昔、美優が海人に振る舞った料理を逆に振る舞い返す海人。海人の料理の腕に美優は度肝を抜かれる。
未来から来た理由を明かす海人。このままでは美優がうつ病を患い二年後に自殺してしまうため、その未来を回避するためにやってきたのだという。具体的には、この先も美優を不幸に陥れる俊介とその妻を社会的に抹殺し、二度と美優に近づけないようにするという形で。
【結】
話を終えた後、家を出て行こうとする海人。
「急に迎えに行ったり、手を握ったり、料理を振る舞ったり。美優さんと逢えて舞い上がっていたとはいえ、気持ち悪いですよね」と謝罪する海人の裾を、美優は強く引っ張る。
「家、ないんでしょ。ここで暮らしていいよ」「え、でも、僕は男……」「子どもがぐちぐち言わないの」海人の鼻を小突き、美優はにっこりと笑う。
「子どもに発情する大人がいますか。それに、私のための復讐なのに、私にはなんにもさせないっておかしいでしょ。協力させなさい」
こうして、美優は海人ともに、俊介たちに復讐することを決意する。
(復讐したい、という想いよりも、海人だけに嫌な思いをしてほしくないという気持ちのほうが強い)
【見せ場】
未来からきた海人と結託し、ふたりで復讐するという斬新な展開。
《3話あらすじ》
【起】
具体的に、どのような形で俊介たちを社会的に抹消するのか考える美優と海人。海人は未来で美優の日記帳を読んだため、俊介たちがなにをしているのか、ある程度把握しているのだという(日記帳を過去に持ってくることはできなかった)。
未来で、美優はひとり俊介たちに復讐しようとし、ストーカーをし、それが原因で逮捕されてしまうとのこと。というわけで、とりあえずストーカーするのはやめようと釘を刺す海人に、美優は絶対しないと宣言する。
俊介が絶頂に至る瞬間こそ把握しているものの、現時点で彼の弱みとなる部分を把握していない海人。彼の会社に入社し、彼の動向を探ることを目下の指針とする。
【承】
俊介の会社に入社する海人。懇願により、俊介の部下になることに成功する。
仕事をする中で俊介に怪しい動きがないか探るが、まったく隙をみせない。同僚からも篤い信頼を受けている。未来通りいけば一年後に社長に就任するが、それも納得できる働き具合だった。
【転】
帰り際、俊介を飲みに誘うが丁寧に断られて、さすがにすぐに尻尾は出さないかとため息をつく海人。帰路の途中で忘れものをしたことに気づき、美優に「少し帰りが遅れそうです」とLINEする。
会社に戻り、空の弁当箱を回収する海人。その帰り、どこかから熱っぽい声がすることに気づく。声のした場所は会議室。隙間から覗き、海人は俊介が社長秘書と肌を重ねている姿を目撃する。
――俊介の突然の社長就任。社長はスキャンダルにより解雇処分された。
そのスキャンダルは、俊介が秘書と企てたものだったのか、と海人は確信を持つ。
スマホで証拠写真を収めようかといっとき考える海人だが、下手に動いて感づかれることを危惧して音声を取るだけに留める。そこでピコンとLINEの音が鳴る。海人のスマホから。
「誰だ!?」という声を聞くなり、海人は非常階段を使って職場をあとにした。
【結】
時を同じくして、美優は息を呑んでいた。
夕方の街。そこで、海人とは異なる子どもが俊介の妻と手を繋いでいたからだ。
「……誰の子?」
その直後、ピコンとスマホが音を立てる。先んじて振り返る子ども。釣られて振り返る俊介の妻。
美優と視線が重なるなり、俊介の妻は動揺した顔をみせる。
【見せ場】
美優が妻の隠し子を目撃し、海人は夫の不倫現場を目撃する。