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僕L  作者: 氷憐 仁
1/4

平穏を、、

主人公:狼谷慧かみたにけい

初恋愛小説。続きは未定です

ジリリリリリリリ

朝7時、部屋中に鳴り響く目覚ましの音が僕を眠りの世界から引き戻す。

何も無い普通の毎日、ずっと夢の世界にいられたらなんて考えながら重たい瞼をこじ開け、目覚ましを止める

「んん、、、おはよ、、、なんて、この家には誰もいないんだけどw寝てたいな、、」

慧が下の階に降りると、現金とメモが置かれていた。

『学校頑張って。母さんはまたしばらく帰れないから。何かあったら連絡してください。』

「またか、今度はいつ帰るんだろう。」

そうつぶやいて、慧は制服に着替えて家を出た。何もない日々がこんなにだるいのか、、。母さんの邪魔にならないならいいけど。

親としてお金だけ置いていくってどうなんだ?そう思いながらもそのお金を財布に入れ、鍵を閉めて家を出る。

春は幸せな雰囲気が漂っていて嫌いだ。蝶が舞う道の中、無心で足を進ませ続ける。

「やっぱ学校行きたくないなぁ、、、楽しさなんて見いだせる気配すらしないし。」

新しく始まった高校生活は最悪なものだろう。きっと原因はこのひね曲がった思考だ。

この最悪すぎる思考のせいで話しかけてきてくれた友達はやがては何も返さない僕に飽きて話しかけてこなくなるんだ。

「でも、僕は僕なりの思考があるのだから」

そう思って小学校はやり過ごしてきた。ただ、その末路がこれだ。

僕には教室で話す`友達`というものがいなかった。うん、虚しい。

そんなことにまでなるひね曲がった思考ってのは何なんだって思う。

それが、凄くくだらない。

実は、僕は`人`が苦手なのだ。とにかく苦手だ。

学校なんて拷問なんじゃないかと思う。

一刻も早く抜け出したいが、家にいると近所の人が定期的に生存確認をしに来るのだ。

(普通のおすそ分けや母親のご近所付き合い)

あれはもはや極刑レベルの嫌がらせなのではないか?と思う。

遠慮や躊躇、察するという言葉が彼女たちの辞書にはない。

とにかく、人は苦手だ。なら学校にいかなければいいと思うだろう?

それができたらもうとっくにしているんだよ!!

そんな脳内戦争を繰り広げながらも、慧は学校についた。

「おはようございます。」

という生徒会の挨拶を横目に慧はまっすぐ教室へ向かう。

多くの生徒が誰かの席に集まって話をする中、一人端っこの自分の席に座り、窓の外を眺める。

遅刻ギリギリの生徒が走ってくるのはいつまでも見ていられる気がする。

そうして朝のホームルームが始まった。

「今日は転校生がこのクラスに来ている。みんな教室の場所とか色々教えてやるように。」

クラスでは人気のある波可先生(通称ハカちゃん)が言った一言で一揆異教室がざわめく。

「ハカちゃん!オレ可愛い女の子がいい〜」

「えぇ〜スポーツ勉強できるかっこいい人がいいよ〜」

そうして、転校生が入ってくる前にどんどんハードルが上がっていく。

可愛そうだなぁ、、、普通の人だったらめちゃくちゃ気まずいだろうなぁ、、、。

ガラっ 

なんやかんやで転校生が入ってきた。その瞬間また教室がざわめいた。


  さくら あおい

「桜 翠です。好きな食べ物はいちご飴です。よろしくお願いします!」

、、、陽キャだ。モテるだろうなぁ、、、ま、僕には関係ないけど。あ、白い鳥飛んでる。

「よし、、席は、狼谷の後ろだ。」

、、、は?そうか、んーと、、、聞き間違いだな。

「おい、狼谷。聞いているのか。はぁ、桜、あそこのたそがれているやつの後ろだ。」

「「ww」」

教室内で笑いが起こる。、、、黄昏れてなんかいない。

そう心のなかで反抗して、目をそらした。

そんなこんなで転校生が席に座り、授業が始まった。

昼休み。僕は屋上へ向かった。あそこは学校で一番心地が良い。僕だけの秘密の場所だ。

購買で買ったパンを食べながら無性に青くて広い空を見上げる。

「あぁ、、つっかれたぁ、、、このままサボっちゃおうかな、、、なんて」

「サボるんですか?」

、、、幻聴かな。ここには僕以外誰もいないはずだし。

「そぉだよぉもう疲れちゃったし、家には帰りたくないから。ずっとここにいたいなって」

「じゃあ、お話し相手になってあげますね。」

「はぁ、、、、やっぱりおかしいよな、、、」

慧が体を起こすと、目の前に転校生がいた。

「、、、、は?な、なんでここに、、、?」

「幻だって本気で思ってたんですか?私は狼谷さんが教室を出てからずっといましたよ?てっきり学校を案内してくれるのかと思っていたら、こんな素敵な場所でずっと気づかないんですもの。」

「いやいや、途中で気づくだろ案内じゃないって。てか、僕が見たときは僕の席がなくなるぐらい囲まれてたし。どうやって振り切ってきたんだよ。」

「怒らないんですね〜。ついてきた理由としては私と一言も話してないのは狼谷さんだけだったっていうのと、すごく、興味を惹かれたから、ですかね。」

「き、興味?どこにそんな要素が、、?てか、この場所は口外しないでくれよ?」

ここの平和が保たれなくなれば僕の学校生活の精神が崩壊しかねない、、、ここで引いてくれ。

「じゃあ条件を出してもいいですか?」

、、、、は?条件?なにそれ。聴いてないんですけど。普通僕が条件出す側だよね?転校生なんてあんまり関わりたくなかったんだけどなぁ。

「なんですかその条件って」

、、正直、こんなとこに二人でなんて絶対に陽キャの皆さんから反感を買うんですよね、、はやく一人になりたい、、、。

「今日から友達になってください。」

、、、え?そ、それだけのために僕の平穏(屋上)は人質に?

「そ、それだけ?」

「はい。こうでもしなきゃ話してくれなかったでしょう?」

まぁ、それは絶対にそうだけど普通ここまでするか?転校生なんて友達いっぱいできるだろうに、、、怖、怪しすぎる。

「どうしますか?YESorNO?」

あ、圧が、、、、もう、どうにでもなれ!

「、、YESで」

「はい。改めまして、よろしくお願いしますね。狼谷さん。」

キーンコーンカーンコーン

はぁ、、、僕の平和を、、独りの時間を返せぇぇぇぇぇ

昼休みが終わって、午後の授業を乗り越え、僕は帰宅道を突き進んでいる。

そうだ、途中で図書館に行こう。

この時間はまだ近所の人がうろついているかもしれないし。

今は4時だから、、6時ぐらいまでいるか。

何を借りようかなぁ、、もうすぐテストだから勉強でも。

さすが図書館、冷房で灼熱の外からはまるで別次元だし静かで心地が良い、、。

「さてと、まずは数学かな、、今日の範囲だけでも復習しとこ」

数学の参考書と問題集、教科書を開いて本に囲まれたこの場所で勉強を始めた。

もうそろそろ6時か、ぼちぼち帰るとするかぁ。本を元の場所に返して図書館をでた。

「こんな夕方なのに、、、人が多い。うん、早く帰ろう。アイス買って帰ろうかな、、。」

家帰ったら何しようかな、、、まぁ、まず風呂掃除しなきゃだし、ご飯はなんか残り物でも食べるか。

この帰るまでの道のりが一番地獄だぁ、、。

あれ?もしかしてあれは、転校生?なんでこの時間に?しかもまだ制服だし。

回り道しよう。気づかれないように、、、、

「あぁ!狼谷さん!偶然ですね〜。この時間まで制服なんて何してたんですか?」

ば、バレた、、しかもあっさり。

ていうか、、、え?いやいや、僕なんかよりも転校生がここにいることの方が謎なんですけど?なんて言えないよなぁ。

「君の方こそ、なんでここに?」

聞いちゃったよ。これだからもう。何やってんだよぉぉ。

「さぁ。それは狼谷さんには関係のないことでしょう?そんなことより、一緒に帰りませんか?私あっちの方なんですけど、、、帰れるとこまででいいので。」

、、、あっち。一緒だなぁ、、なんでかなぁ。

女子と話す会話のネタなんて持ち合わせてないよぉ。

あぁ、、これを近所の人が見てたら、、、考えたくもない。

万が一、クラスの人に見られたら、、今度こそ、学校生活に平穏は訪れないだろうな。

「狼谷さん?どうかしました?あ、もしかして、私と二人っきりだから緊張してるんですか?大丈夫ですよ。ま、私が無理やり一緒に帰ることを決定したので、私が喋りますね。」

なんでこんなに上からなんだ?てか、道が同じって、もしかして、、、、なわけないか。

「えっと、まずは、互いに質問をしていきませんか?友達なんですから。じゃあ、私から質問させていただきますね。狼谷さんの得意科目はなんですか?」

満面の笑みで成績下位のぼくに得意科目を?鬼か?何が面白いんだ、、、。ここは穏便に。

「えっと、じゃあ、強いて言うなら国語かな。君の得意科目は何なの?」

「ついに、狼谷さんが私に興味を抱いてくれましたね!いいですね〜私の得意科目は英語と理科です。この質問が1つ目の狼谷さんからの質問でいいですか?」

文系なのか理系なのかわかんないな、、、まぁいいか。次の質問を考えるのも面倒だし、このまま質問を鏡返しで家まで乗り切ってやる。

「ふふ、、じゃあ2つ目の質問ですね。狼谷さんは名前で読んでくれませんね。まさか覚えてないんですか?」

嫌なとこを突いてきた。正直言って、本当は覚えている。そりゃあ僕だって本当に黄昏れていたわけではないんだ。じゃあ逆に、このド陰キャの僕に友だちがいると思うのか?名前で呼び合うような友達が。もちろん、いない。その慣れのせいだ〜なんて言えない。ここは無難に「、、、桜さん。だよね?」あぁもう、公開処刑だろ。名前呼ぶなんて小学生以来だ。

「わぁぁぁぁ。覚えてたんですか?!なんかすごい新鮮ですね。次は狼谷さんの番ですよ」

自分で言ってたくせに何なんだ。、、やばい、鏡返しができない、、、、。

「じゃあ、趣味、、、とかは?」、、運動なんてできやしないの聞くのもあれだしな。

「趣味ですか、、、んー、、写真です。」、、?なんでこんなに間が空いたんだ?一番答えやすそうな質問なのに。まぁ、深入りは良くない。、、、写真かぁ。思い出したくないな。

「へぇー、、興味はないけど。」

「えぇ?!聞いたのにですか?ひどいですよぉ。じゃあバツとして、今度写真を取りに行くのでついてきてもらいますね☆とぉーっても、楽しみです!それじゃあ私はここで。」

「え?」返事をする間もなく転校生、桜さんは行ってしまった。嵐みたいな人だ、、。ていうか、写真撮りに行くって言ったってどこ行くんだよ。あぁ、めんどくさいことになった。

家に帰るとLIMEが来ていた。誰だ?僕は母親とクラスLIMEしか持ってないぞ。

『狼谷さん!急なLIME失礼しますね!クラスの皆さんに入れてもらったクラスLIMEから追加させていただきました!写真を撮りに行く件なんですが、土曜日の一時に、駅前へ来てください。持ち物は特にありません。要件は以上です。お待ちしています!_(_^_)_ペコ』

クラスLIMEって言ったってなんで僕のアイコンがわかったんだ?名前も、1511、、、名前だけでわかるやつはいないはずなのに。んな! き、既読をつけてしまった。もう行くの確定じゃんかぁ、、、よし、ここは切り替えて、myワールド展開して忘れるか。


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