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プロローグ

 こんにちは!作者です!

 執筆活動の歴はあまり長くありませんが、描きたいものを書いていきたいと思っています。お時間があれば是非読んでください!

 「ハァッ、、ハァッ」


 侵入者用アラートが鳴り響くビルの中、青年は全身全霊で前に進んでいた。


「このまま屋上まで追い詰めるぞ。警備員は他の退路を封鎖しろ!」


 スピーカー特有の若干くぐもった声がビル全体に木霊する。その声は絶対に逃さないという自信と余裕に満ちているようにも聞こえる。

 対して大量の警備員に追われている青年はよだれを垂らしながら肩を揺らし、逃げ惑っている。酸欠のせいで上手く動かない体で唯一の逃走先である屋上を目指す。


 「ハッハッ、、ぐっ!!」


 勢いよく屋上のドアを開けて、青年はフェンス越しに下の様子を見る。しかし、そこには18エリム程下に地面があるのみだった。


 「クソッ!」


 ガンッ


 フェンスを殴る音があたりに響く。青年の顔の焦りの色が濃くなる。それと同時に大量の警備員も屋上に押し寄せてくる。


 「チッ、、、来るの早えぇよ!」

 「盗んだ物を返して貰おうか。もう君に逃げ道は残されていない。」


 警備員の中で最年長であろう男が青年に話しかける。ジリジリと警備員全員が青年に近づいていく。


 「さぁ。大人しく諦めてくれ。」

 「、、、。」


 警備員達の足音、青年の荒い息遣い、屋上に吹きつける風に混じって青年の耳にある音が飛び込む。しかしその音は警備員には聞こえていない。


 、、、スッ


 青年はそっとその両手を上げた。


 「賢い選択だ。幾分か罪が軽くなるだろうな。」

 「、、、。」


 青年は未だ黙っている。投降した青年の身柄を拘束するために手錠の代わりの縄を手に1人の警備員が近づく。

 それは警備員の手が青年の手に触れるか触れないかの瞬間であった。


 「レージング」

 「ぐっ、、、!うぅぁ!?」


 突如として警備員の体が硬直する。


 「さぁて、この男を殺してほしくなかったらあと9歩後ろに下がれ。」

 「魔法使いかっ!?」

 「ほら!とっとと下がれ!」


 青年はどこからか取り出したナイフを硬直した警備員の喉元に突きつけながら意気揚々と叫ぶ。

 言われた通り警備員達は9歩後ろにゆっくりと下がる。


 「よしよし。さぁ戦女よ、我らが杯に蜜をそそg、、」

「動くな!保安官だ!」


 青年が何かを唱えている最中、複数人の保安官が拳銃を構えながら屋上に突入して来た。


 「カーッ完全詠唱させろよ!フィースト!」

 「なっ!?」


 すると青年の身体は宙に浮き、フェンスを超えると急降下し始めた。


 「おいっ!」

 「保安官さん!あいつ魔法使いです!」

 「先にそれ言ってほしいっす〜。」

 「言ってる場合か!?下で待機してる奴に連絡しろ!俺達も追うぞ!」

 「ガッテン承知ッ!、、、?。あれは?」


 魔法で飛翔した青年はビルの近くに止まっていたオープンカーに上から飛び込む。


 「ニセの申請書と指紋データと筆跡データ取れたか?」

 「バッチリだから早く車出してっ!アイツらすぐ追ってくるよ!」

 「あいよ。しっかりつかまってろよっと!!」

 

 運転席に座っているオールバックの男はそう言うとアクセルをベタ踏みして一気に車を加速させる。

 ーー辺りにサイレンが響き始めた頃にはもうそのオープンカーの姿は何処にもなかった。



 数十分後、青年とオールバックの男はとある事務所のオフィスにあるソファにテーブルを挟んで対面で座っていた。

 逃げ惑っていたせいで青年の着ているスーツは向かいにいる男のとは対照的にシワだらけになっている。


 「さて、ニセの申請書並びに指紋、筆跡データの3つともしっかりあるな。流石かの御高名なウィーケンドテラー様だな。」

 「それ、皮肉で言っているのかい?」

 「まさか、純粋にアンタの仕事ぶりに感服してるのさっ。」

 

 オールバックの男の口調はどこか飄々としていて、青年は判断に困る。両者は笑顔を浮かべているものの、明らかに別種の笑みであった。


 「そんな顔しないでくれ。端から誰にも見つからないと思ってたら車なんて用意してねぇよ。想定内さ。」

 「でも、報酬は提示された額より減るんだよね?」

 「契約に即したらな。」

 「ん?何を言いたいのかな?」

 「マーセンコーポレーションには個人的な恨みがあるからな。幾分か報酬が増えるようにクライアントに掛け合ってみるよっ。」

 「ありがとう。助かるよ。」

 「良いってことよっ!これにて取引終了ってとこだな。いやぁ、お疲れさんっお疲れさん。」


 オールバックの男はパンッと手を叩き、立ち上がる。


 「見送るよ。」

 「おっアフターサービス付きか。」


 そうして2人は階段を降り始める。


 「そう言えばクライアントはどうやって今回のマーセンコーポレーションの不正に気づいたか知ってるかい?」


 青年は前を歩く男の背中に質問を投げかけた。オールバックの男は髪を手で整えながら答える。


 「何でもとある魔法の水を飲んだら天啓が舞い降りたんだとさっ。」

 「君、、、からかわれているんじゃないか?それ。」

 「いんや、あの目はマジの目だね。長年の依頼仲介業者の経験と勘がそう言ってる。じゃなきゃこんな依頼受けないさっ。」

「、、、。」


 青年が魔法の水について考えていると、すぐに駐車場に着いてしまった。


 「そんじゃ、報酬は3日以内に払わせる。それまでに払われてなかったら連絡してくれ。」


 男はそう言い残すと乗って来たオープンカーでその場を後にした。辺りには排気ガスの匂いがほんのりとするだけになった。


 「気になることもあるが、俺も帰るか。」


 すっかり暗くなった街中を歩く。人気の全くない道で青年は歩を進める。


 「魔法の水、マーセンコーポレーションの不正。今回もあの件とは関係なし、、、かな。」


 クイックイッ


 不意に青年のスーツの袖が誰かに後ろから引っ張られる。青年が内心驚きながら振り返るとそこには14、5才の少女がいた。


 「、、、どうしたのかな?」


 青年はできるだけ警戒心を表に出さないように努めながら少女に笑顔で問いかける。


サッサササッ


 「んん?」


 少女は手を広げたり閉じたり、上下左右に振ったりする。

 これは手話だと青年が気付くのに数秒かかった。その手話の内容と口の動きを見る。


 た 

 す

 け 

 て


「っ!!?」


手話の内容とその裏の意味まで察した青年は後ろに飛び退き、叫び始める。


 「豊穣の主より給わりし約束の勝利よ、欲に溺れた末の焔に己が咎を終ぞ知れ!ヴィクトール!」


 青年の手によって形成された魔法の刃が少女の方向に飛来するッ!

 この度はお読みいただきありがとうございました!

 今回のお話は面白かったでしょうか?誤字・脱字がありましたらご指摘をお願いいたします。少女の運命は如何に!?この先の展開を楽しみにして続きをお待ちくださいませっ!

 もし良ければブックマーク・評価の方も併せてお願いいたします!

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