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幻想奇譚

風光明媚

作者: 秋暁秋季

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。

天気予報は生憎の雨でした。そんな中、お気に入りの紺色の傘を差しながら、ふらりと街を出ました。ポタポタと空からの雫が落ちてきます。纏っていた衣類も、しっとりと水を吸収し、潤っていきます。

無骨な鈍色のコンクリはどうにも雨音と親和性が良くありません。気持ちを憂鬱にさせます。だから木々の多い、緑いっぱいの公園を訪れました。晴れ間に見る乾いた幹と、雨天に見る艶めいた幹は全く違う印象を与えます。雨の日の方がずっとずっと、綺麗です。樹木を覆う苔むした緑が、風流、雅を良く分からない私でも分かるくらい、趣を感じさせてくれます。それに雨音も加わると、どうしようもなく非現実でここに居たいと思わせてくれます。

あぁ、雨音も、森達も、悪くはない。ずっとずっと美しくて心地良い。

「こんにちは」

そうやってただ傘を差しながらぼんやりと楽しんでいると、青年からお声をかけられました。髪が長く一つ結び。風光明媚の緑達に負けないくらいの光沢を放ってます。紺色の浴衣姿はこの環境に馴染んでいました。手には番傘。私は軽く会釈をします。

「こんにちは」

「様々街を見てきました。無粋な混凝土(こんぎょうど)も、褐色の赤煉瓦も、どれもその街に根付いていて悪くはありません。でも私はやっぱり水を吸って輝く苔が好きです。光に照らされて艷めく木々が好きです。貴方はどうでしょう?」

それを聞いて、私は薄らと口角を上げました。この方とはとても気が合いそうだと思いました。だから再度この自然に目を向けて、うっとりと口に出します。

「ええ、ええ。私もこの光景が大好きです。雨がないと雅に欠けます。水の輝きが無いと、魅力に欠けます。雨の日が好きです」

そう言うと、彼はするっとその長髪を払い除けます。それから満たされたような笑顔で、そっと小首を傾げました。貴方もこの景色の一つとして、大切に記憶に留めたいと思います。

雨の日嫌いですが、雨の日の神社巡りは好きです。

気がとっても綺麗でした。濡れなきゃ最高です。

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