表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/28

賭場

俺には特に旅の目的がない。

向かう先も決めていないが、一つ所に留まる気もない。

なので色々と物入りだが、妙な大金が入ったので、賭場で遊ぼうと少し金を余分に持って出掛けた。


酒場や賭場の多い界隈(かいわい)に行くと、フランに出くわした。

妙に緊張した顔をしていて、気になった俺は声を掛けた。

「金に困ってるなら博打(ばくち)はしない方がいい、尻の毛まで抜かれるぞ」

と言うと「どうしてそんなこと分かるんだい!?」と驚かれた。

学者先生がこんなとこにいたらすぐ分かる、と答えると泣きそうな顔をされた。


学者の資金というのは案外少ないらしい。

それで宿代が払えなくなり、移動費用も払えそうになくて賭場に来たと言う。

俺は持って来た金を貸すことにした。

返すのはいつでもいい、元々妙な金だから使ってくれ、と言うと抱き付かれた。


メシを食う金くらいしか残らなかったので、近くの酒場に寄った。

そこでは店の真ん中でキージャという盤上遊戯(ボードゲーム)をしていた。

遊びではあるが、本格的な模擬戦をするものだ。

役割に分かれた数種類の駒、資金と食料、天候と時刻の要素がある。

正直俺の頭ではついていけない。


だがフランは興味津々だった。

じっとゲームの進行を見つめて動かず、熱心に手帳にメモまで取っていた。

俺は酒とつまみを頼んで、フランが飽きるまで付き合った。

帰る頃には丸い二つの月が高く昇っていた。

酒のせいか、不思議といい気分だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ