熱が下がって
今日は目が覚めると暖かくて、体が楽になっていた。
寒気も感じないし気分もいい。熱が下がったのだ。
それで起き上がろうとしたら、ベッドの端でフランが座ったまま寝ていた。
びっくりして揺り起こすと、目を覚ました彼は俺の顔を見るなり「こんの大バカ!!」と怒鳴った。
「こんの」にやたらと力を込めた言い方で、両手を握り締めていた。
よく見るとその手がぶるぶる震えていた。
しかもうつむいたまま泣き出したので、しばらく頭を撫でた。
「ここまで来れば材料の毛皮は幾らでもあるから、君に特注の防寒着を作るよ」
と言ってフランは裁縫師を呼んで来た。
もう熱も下がったしこっちから行けばいいだろう、と言うと拳骨を食らった。
頭が真っ二つになるかと思った。
食事を持って来た宿の主人も、彼の後ろで何度も頷いていた。
このカルンの国から北では、夏は短くすぐ冬が来るそうだ。
道理で一気に寒くなったはずだ。
白山熊の冬毛で織った分厚い織物と、雪狼の毛皮を使った防寒着がないと、慣れた人間でも寒さで体を壊すらしい。
防寒着ができるまでは外に出るな、と厳命されたので仕方なくベッドに戻った。
そんな俺に、フランは「熱冷ましの薬草だ」と言って固い緑の葉を見せてくれた。
魔法が効かない俺たちの国にも薬草はある、と話していたのを思い出して、最後の手段で使ったらしい。
ああ、俺は彼のお陰で生き延びたんだ、とようやく分かった。




