故郷の密林
やっと雨がやんで、次の仕事が回って来た。
今は北東に向かう途中だ。
雨で動けない間、フランとは色々な話をしたが、なかでも故郷の密林の話をたくさん訊かれた。それをメモしておく。
オークが普通に生活する密林は、人間にはかなり危険なところらしい。
植物も動物も毒を持つものが多く、触れただけで毒に侵される事もあるという。
しかも草木が唸るほど茂っているせいで、避けて歩けない。
人間が入るには魔法使いが一緒か、たくさん薬を用意しておかないと、死人が出てしまうそうだ。
だがオークや、同じく密林に住む竜は、それらの毒の影響をほとんど受けないそうだ。
実際、たまに妙な味のする草を食って腹を壊す奴はいるが、死ぬのは珍しい。
肌がかぶれる植物はあるが、それもすぐ治る程度だ。
だが全く影響を受けないわけでもなく、俺たちにも薬草として使う植物はある。
しかも俺と同じように、大抵のオークは魔法の影響を受けにくく、魔法で作られる異種族の薬も効きにくい。
この辺りの事は、大陸全体で学者たちが謎だと言っているそうだ。
そもそもオークという種族が、いつ大陸に現れたのかさえ謎だという。
そういった記録はないのか、伝承はないのか、とフランはしきりに聞きたがった。
だが俺は、生活に必要なこと以外は教わっていない。
ましてや人間の言う「歴史」などは全く聞いたことがない。
いつか戻る事があれば、それを調べてみるのもいいだろう。




