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手帳を手に入れた日
両親と別れてからそろそろ7日。
最初の数日は寂しいとも思ったが、だいたい慣れた。
食料を手に入れるのは少しだけ楽になった。
オークは一人なら人間にもあまり怖がられないようだ。
今日は山沿いの藪で蛇を見つけたので、晩飯の後にでもつまむつもりだ。
この手帳は今日、護衛の仕事の報酬ついでに、人間の商人がくれた。
最初は俺を怖がっていたらしいが、3日も一緒にいれば慣れたらしい。
表紙にでかい傷が入って売れないからくれる、という。
使うのには何の問題もないと言うから、人間ってやつはどうもよく分からない。
ついでにペンとインクもくれた。
ありがたく使わせてもらおう。
今日は少し暖かい。
道端に黄色いやたらと花びらの多い、丸っこい花が咲いていた。
白っぽい綿のような花も咲いている、と思ったらあれは種だと言われた。
苦いが食える草らしい。今度食ってみよう。
オークの村では白い大きな花びらが一枚の花が、水辺にたくさん咲く頃だ。
今年はあれを見られないのは、少しだけ残念だ。