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プロローグ

 夢を見る

 あの日、あの夜、まだ魔法を使えていた頃の夢



 襲撃者、僕の家系は代々強力な魔法士を輩出してる名家の一つだ。そういう家には遠回しに職を奪われただの、妨害されただの、言いがかりにも程がある妬み嫉みを買うこともあるし、ほかの名家からすればライバルを蹴落としたい家もあるだろう。

 この時の襲撃者の意図は未だに分からないけど、そういう類だったんだろうと思う。


「アル、来てくれるのは嬉しいが、母さんの近くに居ろと…」

「父さんに守られてばかりじゃいられない、僕だって明日から学園に入るんだ戦えるよ。それに、母さんには氷人形を護衛に付けてきた」

「!、人形魔法…そこまで習得を、お前も自慢の息子だよ」

「兄さんほどじゃないけど」

「それでもさ、なら背中を預けよう。敵は目視10人探知12人、魔法士崩れで連携も取れている気をつけるんだぞ」

「分かった」


 その後、父さんと背中合わせで攻撃をいなしながら確実に1人ずつ落として行った。最後に少し離れて隠れていた付与魔法使いの2人を倒して、難なく撃退出来た。いくら連携の取れた魔法士崩れとはいえ、王国10指に入る父さん相手には力不足だろう、僕も実戦を経験できたのは良かったと思った。

 けど、それが甘かった、今も後悔する、僕が加勢していなければ、この結末はなかった。自業自得だとは思う、父さんを守れた事だけが幸いだと。

 付与魔法使い2人を倒した時、僕が加勢したことで父さんは敵を殺しきらなかった、息子である僕に惨い絵は見せたくない親心だったんだろう。僕は僕で、父さんが居るから勝てて当然とはいえ実戦を勝った事に気が緩んでいた。

 この時、僕が加勢したことで父さんも僕も詰めが甘い状態を作ってしまった。追い込まれた襲撃者が力尽きる前にとる行動なんてのは限られてる、その最悪のパターン、命懸けの反撃、倒れていた魔法士は突然起き上がりながら駆け父さん目掛けてナイフを突き出した。父さんはもう1人の倒れた魔法士の方を見ていて背を向けていた、父さんのことだ気づいただろうし反撃出来ただろう、けど僕は慌てて冷静に判断が出来なかった。気が緩んでいた状態から魔法を再度組んで放つには間に合わない、そう思うと同時に身体が動いた父さんを守るために父さんを突き飛ばした、ナイフは父さんに当たることは無かったが僕の腕に刺された。


「っ…!」

「アルっ!くそっ、燃えつきろ」

「あ…が…はは…やった…ぞ…」


 そこからの父さんの動きは早かった、突撃してきた魔法士を即座に燃やして、僕に駆け寄った


「アル、何故無茶を」

「父さんが危ないと思ったらつい…場馴れって大事だね」

「それを冷静に言っている場合か、早く母さんに見せねば」


 父さんはナイフを抜かず、周りに布で覆い止血しくれた


「動けるか?」

「心配しすぎだよ父さん、刺さったのは腕なんだから動けるよ」

「はは、それだけ言えれば元気だ」


 僕は父さんと家に帰り母さんに傷を見せた。母さんは治癒魔法が得意で講師をしてることもある


「アル…!人形が消えたから何かあったのかと思って…良かった生きてるわね」

「ごめんなさい母さん、腕刺されちゃった」

「大丈夫よ、命ある限り治せるもの。そこに座って」


 僕は母さんに言われた通り近くの椅子に座って傷を見せた。母さんの手際は凄く良かった、治癒魔法をかけながらゆっくりナイフを抜いていく、治った所にはあとも残ってない、けど治療中父さんが苦い顔をしていた。


「さすが母さんだね」

「…」

「どうしたの?暗い顔して」

「アル…少し父さんと話してくるわね」

「?分かった」


 2人は1度部屋を出て少しして2人とも辛そうな顔をして戻ってきた。


「アル、魔法を使ってみなさい」

「?分かった」


 その時初めて2人の顔の意味がわかった。魔力が通せない、魔法を撃てない。


「調べてみないことには確実な事は言えないが、恐らくナイフに呪詛が埋め込まれていた。魔法士を殺す呪詛、全身の魔力経路に魔力を流せなくなる。俺も昔に1、2度見ただけだが禁術の類だ」

「母さんが治癒魔法で魔力を流した時に流れ方がおかしかったの」

「そんな……」

「すまない…アル、何とかして解く方法を探す。人生をかけてでも」

「父さん…」


 その日を境に僕の生活は激変した。数日後には学園に入るにも関わらず魔法を使えなくなった。父さんは未だに解く方法を探してあちこちを駆け回ってる。

 僕は僕で使えなくとも魔法を扱うための訓練、そして肉体を鍛えた。


 僕にとっては、この夢を見続ける事は悪夢だ。けど、切り離すことは出来ない夢



「アルっ!だめ、これでもだめ、また繰り返してしまう」


 聞いた事のない女の子の声


「必ず…必ず助けるから…好きだよ」


 誰だろうか…


 けたたましい目覚ましの音、そこで夢は途切れた

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