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第二章  アギト  2 追跡者

幕間で短いです。

 ちょうど誠たちが坂道を駆け上がっている頃、メイリルが居た公園に傘もささずに佇む人影があった。


 黒のロングコートにフードで顔を隠し、いかにも謎の組織のエージェントのような恰好をしているその人物は何かを捜すように狭い公園を見渡していた。


 「あ~あ、降ってきちゃった。何かの力の痕跡は残っているけど、それをやったモノは発見できず。もうちょっと早く気づけていればな~」


 まばらに配置されている敷石を渡りながら公園内部に入っていく。そして、地面に視線を落とすと何かに気づいた。


 「ようやく尻尾を掴めたかも」


 重厚感があるコートに不似合いなスニーカーが汚れることも厭わずベンチに近寄りポケットからスマホを取り出して誰かに連絡を取り始めた。

 

 「データは取れた?だめ?じゃあカグラをこっちに寄こしてくれる?あの子なら直接見れば何か掴めるでしょ。どうせ暑いから嫌だ~とかごねるんでしょうけど、これは十人隊長命令だって伝えといて。人命がかかっているんだから大急ぎでお願いね。……そりゃ二週間前の大襲撃と無関係ではないでしょ。うん、あいつらだってもう気づいているはず。ここからはスピード勝負だよ。じゃ、カグラの事、よろしくね」


 雨風はますます激しさを増し、それはさながら台風のようである。


 「ようやく調査が軌道に乗ってきたのに、この天気はついてないなぁ」


 天気さえ悪くなければ、ここで件の人物を見つけられたかもと思うと空を覆う雨雲が恨めしい。だが、人の身で天気に文句を言っても仕方がない。ここ最近走り回っていた成果がでたことを喜ぶべきだろう。

 

 「まったく私の目から逃げ回るなんてやるじゃないの、見知らぬ来訪者さん」


 ポケットから取り出した眼帯で金色に光る右目を隠して改めて公園を見渡す。一応奥の神社も見てみるが求めている痕跡は発見できなかった。

 

 「夏休みが終わる前に捕まえたいし、諸々決着をつけたいところね」


 生まれ育った街で好き勝手を許すわけにはいかない。決意を新たにすると同時にスマホが短くアラームを鳴らして後続隊の到着を知らせた。


 「さて、第2ラウンド開始と行きましょうか。……まぁ、その前にカグラの機嫌をどうにかしなきゃいけないけど」


 悪天候の中でも聞こえてくる不満そうな声に苦笑しながら追跡者は出迎えに公園の入り口に向かうのだった。

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