第六章 光剣の勇者と神導の魔術師 7 少女の叫び
誠に怪光線をあて人型は自らの勝ちを確信した。
だが、人型にとっての脅威はまだ残っていたのである。
「アリエント、ディーオルフトと強制接続!……ロック解除!マナ生成停止!」
僅か一メートルの距離、自身の背後にたつ存在から既に興味を無くしていた人型が急激に自らを奮い立たせる力が失われていくのを感じて絶叫する!
「よくもマコトをっ!このまま……えっ!?」
アリエントと接続してディーオルフトを操作する、その目論見は成功するかと思われた。
しかし、ここでメイリルにとって予想だにしない事が起こった。
それは本来起こりえない事であるはずだった。
神性武具の序列では最上位に位置するはずアリエントが逆に力を奪われ始めたのである。
(甘かった!相手が吸収したモノの性質を変化させる能力があるのなら、こういう事が起こるのは想定すべきだった!)
無理やりにアリエントとディーオルフトとの接続を切るが、わずかな間にも人型に多くの保有マナを奪われてしまった。
体を起こした人型と距離を置こうと後ろに飛びずさったメイリルの腹部に強い衝撃が加わり、くの字の形で十メートル以上宙を飛び吹っ飛ばされ地面に何度もバウンドしてようやく止まった。
人型が槍から放った衝撃波をアリエントの自動防衛魔術で防いだ。だが、その衝撃を完全に消せなかったから起こったことだった。
「がっ、げほげほ……!」
先ほど飲んだポーションの薬効の抜けた水が口から吐きだされる。うつ伏せに倒れた状態から上体を起こそうとしただけで体中に激痛が走る。
涙と涎でぐちゃぐちゃに顔を汚したメイリルの元へゆっくりと人型迫る。
その狙いは、自らに脅威を与えたメイリルの命か、それとも力の源になりえるアリエントか。
「……けて、助けて。私はいいから誰かマコトを助けて!」
自分よりも他人を助けたいという少女の叫びは亜由美にも届いていた。体のほとんどが石化し動けなくなった魔神の頭、その中にある核をショートソードで破壊した亜由美が魔眼を人型に向ける。
だが、亜由美の魔眼が効力を発揮する前に一筋の光がまっすぐ正確に人型の胸、炎を宿し黒い粒子を散らし防御を固めた核を一撃で貫いた!




