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異世界でスローライフを目指してたら魔王にされてた件。  作者: 中崎実


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遠足の準備は大人の仕事。

 春の植え付け作業が終了すると、次に始まるのは本格的な土木工事。

 春のうちに仮復旧をすませて、ある程度の人手が確保できるようになったら復旧工事と拡張工事が始まります。

 工事については営繕に完全にお任せなので、俺がやる事はほぼないけど。


「昔は俺が自分で整備してたんだけどねー」


 とは言ってもなんせ一人暮らしだし、使う農道もそれほど気を使ってなかった記憶が。


「さすがにこれだけ広ければ、人を使うしかないでしょう」

「まあね」


 農場自体を広げたのに加えて、人間に追われたひと達の雇用も必要だったから、出来る事はお任せすることにしたんだよね。俺は仕事を減らせるし、その後の開拓も進められたから、割とうまくいったと思う。


「明日は山菜取りに行くから、書類は明後日以降に対応するよ」

「ああ、そういえば。子供たちと同行ですよね?」

「うん、自然観察実習を兼ねてるからね」


 というわけで、今日のうちに最終打ち合わせです。


 子供の引率は学校の先生ではなく、ガイドのできる大人がやります。

 先生がアウトドア派とは限らないし、普段から歩いてる人がやったほうが安全だからね。

 ガイド参加メンバーは森の耳長族のファルさんと赤鱗族のリィアン君、それに俺の3人。ファルさんは山林管理の請負もやってくれてる採取の名人で、リィアン君はその弟子です。森の資源について教わるなら、ファルさんが一番じゃないかな。教えるのも上手だから。


「子供たちの装備点検は済ませてあります」


 子供らが帰った放課後の学校に顔を出すと、教室に子供用荷物を広げて待っていたファルさんが報告してくれた。


 俺が子供らに付き合える時間があんまり無いから、事前点検などは全部お任せです。

 子供たちの机の上に、子供たちの人数分セットされた所持品が並んでいる。もちろん、これ以外にも所持品はあるんだけど、それも含めて明日朝いちばんに最終確認をする予定だ。


「ナイフの用意のない者5名にはこちらから貸与ということで、準備しました」

「了解」


 子供が普段持ってるのはせいぜい、工作なんかに使える小刀くらいだ。森の中で使えるしっかりしたナイフはけっこう値も張るから、学校に通ってるような年の子供は持っていない事の方が多い。

 実習に必要なので、持っていない子供の分は用意して、ブレードの手入れはこちらでやってある。

 ブレードの形は基本的に同じ。刃の背から先端にかけて緩やかに下がっている汎用型で、研ぎやすさも重視したもの。ヒト型種族と有鱗族では手の構造が違うので、柄の形は参加する子供の種族に合わせて選んである。


 ヒト型種族の手は、掌が大きめで、親指と他の4本の指が対向している構造だけど、有鱗族の手は掌が小さく、2本ずつの指が対向している構造で、見かけの関節の数もひとつ多い。小指に相当する指は種族によっては痕跡程度のもので、いずれも手首近くにチョコンと飛び出してる。

 それだけ構造が違うんだから、道具の上手な扱い方も若干違う。

 指導に当たる二人を違う種族から選んであるのは、それぞれの種族の子供たちにとって、同じ構造をしている大人の説明じゃないと分かりにくいこともあるからだ。


 そして支給品ではなく貸与品なのは、部族によっては刃物を与える事に大きな意味があるから。親から短刀や手斧を与えるのが成人の証になってたりする集団もあるから、俺が親の頭を飛び越してナイフをあげるわけにいかないんだよね。


 もちろん、携行品はナイフと食料以外にもいくつかある。水筒と細引、火口(ほくち)(ばこ)、あと呼子笛は絶対に持たせることにしている。実習で俺達の目があるとはいえ、万が一はぐれた場合を考えての準備ですな。


「火口箱は二種類か」


 ばね式の火打石と火口が入っている火口箱は、旧型と新型の二種類ある。マッチも輸入してるけどまだ割高だし、家庭では火口箱のほうが使い勝手が良かったりするから、子供らにはこっちの使い方を復習して貰えば良いだろう。


「こちらが我々の持つ荷物です」


 並べられているのは応急手当て用の布や軟膏、鉈、手斧、コッヘル、防水加工した大きな布といったもので、今回の俺の役回りは荷運び兼魔法での護衛です。


 大きな布はツェルトにもなるサイズ。このサイズの布や革は子供には重すぎるので、子供らの荷物には入ってない。というか、そこらの大物を持っていなくても生き延びられるようにするのが、子供向けの実習の主目的だったりするし。まあバックアップ用に俺が背負っていくんですけどね。


 他の二人は先生役を兼ねてるので、俺より身軽。


 最初のうちは俺に荷運びをさせるなんてと言い張ってたけど、この程度の重さなら問題は無いし、いざとなれば荷物は落として害獣退治するから、そう問題はないと納得してもらいました。


「シロハナダイラまで2時間、到着したらまず拠点の設置をして、それから山菜取り。お昼を食べたら撤収、と」

「今朝の時点で、目的地までの経路に異常なしです」


 すでに山道の状況は把握してるリィアン君。

 赤鱗族の中でも体力がある若者だから、偵察にも向いているんだよね。

魔王(しまだ)「春の遠足の季節です」

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― 新着の感想 ―
[気になる点] >教える担当者も手の構造の違う種族から選んであるのは、同じ構造をしている種族じゃないと分かりにくいこともあるから。 ここがちょっと良く分かりませんでした。
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