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異世界でスローライフを目指してたら魔王にされてた件。  作者: 中崎実


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回収にはトラブルがつきもの。

 斎藤さんにはいったん戻ってもらう事にして、俺は出口に回る。


 出口での除染には黒鱗族のゼーグとラーズが入ってくれてます。

 かなり種が違うから、ゼーグ達は感染しない人間の病気ってけっこうあるんだよね。自分たちが受け持つほうがリスクが少ないからと、ここの担当を申し出てくれました。


「それにしても、ここで死ぬとは。運のない者もいたものですね」


 と、これはラーズ。俺の目から見ると、他の黒鱗族よりシュッっと引き締まってて、素早く動けそうな印象があるかな。

 黒鱗族的に言うと美形らしいです。額の鱗が特に黒々としてるのが判りやすい。


「もうちょっとで帰せたのになあ」


 あの谷口という男性は態度が妙にでかかったので、早々に帰すつもりだったんだけど。

 回収を担当したスタッフ曰く他人の言う事なんか聞いちゃいない人だったようだし、説明も聞き流しちゃったんだろうね。なんで食料を制限するかは説明してるし、日本語の注意書きも渡してあったんだけど。


「この建物ごと焼却ですか」

「場合によってはね」


 もったいない気もするけど、ターク先生の鑑定次第では全部焼却処分です。


「焼却処分が必要ないと良いんだけどねえ」


 なにか他人に感染す(うつ)るような病気で死んだなら、焼却せざるを得ない。

 その場合、遺体は搬出せずに建物ごと焼却処分することになる。お骨は拾えるようにするから、埋葬はできるけどね。とはいえ、感染症対策で焼いちゃった骨からはDNAも抽出できないだろうし、あちらに送り返しても個人を特定する材料が足りなくて、最終的には無縁仏になりかねない。歯医者にかかってる人なら良いんだけど。


「じゃ、ここはしばらく頼むね。ちょっと他の人の様子見てくるから」

「了解しました。ターク先生が出てきたら、お知らせします」

「よろしく」


 生きてる人の面倒も見なくちゃいけないからね。


──────────


 建物の中で大人しくしてる三人は後回しにして、とりあえず対応しなきゃいけないのが斎藤さん。

 戻っててくれと言ったんだけど、やっぱり村の中が気になるのか、あっちこっち見て歩く気満々です。


 それは良いんだけど、近付けないように対策してある井戸に無理やり近づこうとしてドアを壊そうとするのは止めて欲しいもんですが。


「そこは立ち入り禁止です」


 この拠点の水源である以上、汚染させる可能性は見過ごせないからね。


「出歩く権利くらいあるでしょう」

「人間の国から病原菌持ち込んでたら困るんで、制限させてもらいます」


 ドアを破壊する権利は無いし、そもそもここの責任者は俺である以上、お客がやって良いことを決めるのは俺なんだけどねえ。

 時々いるよね、こういう人。


「なんでですか!歩くくらいいいでしょう!」

「ドアの破壊は歩くうちに入れないのが、うちの農園のルールなんで」

「ここもおたくの農園だって言うんですか!?」

「はい」


 開拓したの俺です。


「鍵かけてあるところには入ろうとしない、閉まってるドアは無理に開けない、囲ってあるところに入り込まない、でお願いします」


 割と常識的なお願いだと思うんだけどねえ。


「それは自由の侵害です!私は被害者なんですよ!やっと解放されたんだから自由に歩いて何が悪い!!」


 日本でも、旅行先でぶらぶら歩いてるときに見つけた家に入ろうとして、無理やりドアをこじ開けたりしないと思うんですが。


「日本にいる時と同じ条件ですよ」


 面倒くさい人だったっぽいです。


「私に命令する権利があるっていうんですか!どこにそんなの書いてあるんですか!?」

「とりあえず落ち着いて貰えませんかね」

「怪しい奴がいる村なんだ、調べようとして何が悪い!」

「破壊行為はやめといてもらえません?」

「私の権利だ!無理やり連れてこられたんだぞ!知る権利はある!!」

「……ええと、出ていくのはお止めしませんよ」


 だから家に鍵がかかってなかったんだよね。

 隠れ家に案内しても不安になる人はいるから、閉じ込めない方針になってます。本音を言えば検疫のために本格的に隔離したいんだけど、家に鍵はかけてません。

 不安がって森に隠れる人が、これまでもいなかったわけじゃないんだよね。


「屁理屈こねるなよ!」

「だから、破壊行動はやめてくださいって」


 手にしていた棒でドアをぶん殴り始めたので、魔法で拘束。


「放せ!中を見せろ!私の権利だぞ!!」

「だから、ダメですって」


 極限状態だから、精神的にも色々おかしくなってるんだろうけどねえ。

 ちょっと落ち着かせないとまずいんだろうけど、こうしてても落ち着くとは思えないし。


「魔王様、お怪我は」


 騒ぎに気が付いて駆け寄ってきた耳長族のマレクが聞いてきた。


「ないよ。眠り玉、持ってる?」

「ございます。使っても?」

「よろしく。ウィンドシールド」


 周囲の空気の流れを遮断したところに、マレクがガス発生装置に火をつけて放り込む。


 見た目は殺虫剤(バルサン)っぽいけど死にません、な安心グッズです。人間の国の兵隊相手に効果は確認済みです。

 暴徒鎮圧用にも使えるけど、うちではその目的で使ったことないんだよね。


 しばらく煙を吸ってもらって、大人しくなったところで風の魔法をもう一発。薬入りの煙は上空に吹き飛ばしておきます。


「この人は俺が運ぶから。悪いけど、このへんの消毒頼める?」

「お任せください」


 じゃ、このあたりはマレクに任せましょうかね。

魔王(しまだ)「飢えとかこれまでの環境とかのせいで、色々おかしくなってるんだろうけどねー」

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