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一瞬余所見をしたG-RXがD-Ptlの白熱する角で腹を切り裂かれる。
『GA!?…GIGAAAAAARRRR!!??!?』
肉が焼ける臭いがする。
腹を割かれ内臓を焼かれたのだ。普通ならば致命傷だろう。
しかし、G-RXのGたる由縁はその化物染みた再生能力にある。
腹の傷は瞬時に癒え、目に憤怒を宿したG-RXは自身の最大の武器である大口でD-Ptlの首もとに噛み付く。
『AAAAARRRR!!』
D-Ptlは痛みに耐えかね悲鳴を上げる。
自慢の角を相手に突き立てようにも、首もとをG-RXに固定されている以上動かしようがない。
D-Ptlは瞬時に理解即切札を実行する。
高熱により白く輝いていた4本の角が更に熱を帯び轟音と共に射出された。
これこそ、D-Ptlの奥の手である。
一月程で生え代わるとはいえ、射出した角は使い捨てであるため、これで仕留められなければ一切の武器を失ったD-Ptlに待つのは死のみである。
G-RXは微かに瞠目し、口から怪光線を放射した。
怪光線によってD-Ptlの首は千切れ飛び、指揮するD-Ptlが死亡した事により宙を飛び回っていた白い角は熱を失い落下する。
『GAAAAAOOOOORRRR!!』
勝利を確信したG-RXは雄叫びを上げる。
彼は失念していた。
この混沌極まりない世界で生き残って行くためには一時も油断は出来ないのだ。
故に彼は勝利によって警戒心が揺らいだツケを払う事になる。
チクリと脚に何かを感じた。
ふと見れば左後脚に突き刺さる小さな棒。
彼が疑問を持つ間もなく、ソレは起動する。
《標的を確認》
G-RXの左後脚が消失した。
いや、脚に突き刺さった槍によって肉も骨も分子レベルまで分解されたのだ。
『GOOOOAAAAA!?!!?』
G-RXは困惑の叫びを上げる。
理解が出来なかった。何故脚が無いのか?何が起こったのか?棒が何かをしたのだろうか?その棒は何処から来たのか?何が何処から来たのか?何故脚を消失したというのに痛みが全く無いのか。
右脚にも違和感を感じ身を捩って見てみると、いつの間にか右脚も綺麗に消失していた。
何が起こったのか、まるで分からない。
G-RXは茫然自失とした。
頭を巡るのは何故という疑問。
この世界の覇者たる自分がもう間もなく死ぬという諦観。
何に自身が負けたのか、何故自身が死ぬのか何も理解出来ない恐怖。
やがてG-RXは生き絶える。
何が起こったのか分からないまま。
絶命したG-RXに近付く幾つかの影。
それは、この世界に生きる極一般的な怪物のサイズよりも明らかに小さい生物。
彼等は油断なく辺りを見渡し、身振り手振りで意思疎通を行い、徐々にG-RXに近付く。
『どうやら、死んでいるようだな』
『ああ。コイツは大物だ。これで新たに狩猟武器が作れるだろう』
『さっさと運ぼう。ここは危険が多過ぎる…』
彼等はG-RXやD-Ptlのような生物的な武器を持たないが、自らの手で様々な武器を作り出す種族だった。
彼等は他の怪物を駆逐し、その子孫はやがてこの星の勝者と成る。
X-MKから進化したと推察される彼等は最初のヒトと呼ばれ、今日のホモ・サピエンスの祖先と考えられる怪物とされる。
これが、■■の結果である。




