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責21




殿下とこの状況になるのは避けたい

俺もオニキスと同じことをすれば良いかといいそうだ…

そうなれば

…アコヤにサーブされることになる、

執事服を来た俺が…何も腕章も肩にも階級章もない執事服を来た俺が…

最高階級の執事服を身に纏ったアコヤに…



「どうした?食欲湧かないのか?」

気づけば手が止まっていたらしい

オニキスに指摘される…


「…いえ、そのようなことはありません」

「なら何故」

「…すみません」

「オリゼ」


フォークとナイフを置く…

言わねばならない、か。

声のトーンが下がり自身の名を呼ばれたのはそういうことだ

俺は使用人だ

今はオニキスの侍従だ…

主人の質問には答える義務がある


目を閉じて己に言い聞かせる

恥ずかしいことなどないと。

重い口を開き言えばそんなことかと言われたとしてもだ…


「今晩からの食事について想像していました。アコヤさんに給仕されながらもしこのように食事を摂ることとなれば申し訳ないと…そう考えていれば手が止まってしまった次第です。」


「…自己管理ができない侍従の管理も主人の仕事。

お前が自身を蔑ろにすることがそれに至ったと気付き、今までの反省が出来るならば改善もできるだろう?」


「…」

「違うか?」

「…いえ、違いません」


「なら、今は何をすべきだ?」

「…食べます」

「今晩からの食事がこうなったとして、オリゼがすべきことは?」


「食べます…アコヤさんに給仕されたとしても…食べます」

「…分かってるならいい。それを食べ終わったら傷の手当てと薬湯作って飲め」




肯定の返事を返し、

強く瞑っていた目を開く…

再びカトラリーを握り締め食べ進めていく


その様子に満足したのかその後薬湯を飲み下すまで何も言われることはなかった


昼も淡々と過ぎ

調合しておいた材料を抽出し薬湯を啜る

片付けをして戻れば時計の針は刻限間近

迫る時にどんな顔をして戻れば良いのかと調合をするオニキスの背中を眺め控える




「…ビショップを呼んでこい」

「畏まりました」


使用人部屋に向かいノックして扉を開く

朝見たままの姿勢でいるビショップ…よく正座で長時間もつなと変なところで関心もする


「主人がお呼びです」

「…主…が?」


ゆっくりと顔をあげて立ち上がることも急に動いたせいか、よろめくビショップ

思わず手をとって支える


「…大丈夫ですか?歩けますか?」

「悪い…もう大丈夫だ。先に戻っていてくれ…身支度してから参る」


近くで見れば憔悴しきった顔

幾分痩せた…窶れた頬に申し訳ないと思う

先程食べた昼食を代わりに差し出したかった。

落ち着いたら…見習いとして様子を見にこよう見舞う位時間を作ろうと心に決め、手を離し部屋に戻る


呼んだことを伝え、寝室に誘導する

ラフなその服装ではとスラックスにワイシャツ、黒のジャケットを出しお召し替えを促して退出する



着替え終わったのだろう…

終わったと声がかかり、扉を開きオニキスを通す

本当に黒一色の服装が似合うとその姿を見ながら扉を閉めて後ろに続く






「お呼びと伺い…会わせる顔もなく御前に上がりました」


両膝を付き頭を垂れるビショップの姿

普段…いや、知る限りそんな姿は想像もできなかった

オニキスの背中越しに見える


「…何をしたか分かっているな?」

「はい」

「二度とするな、経緯は聞いているだろうがオリゼが庇わなければお前と俺の首は今繋がっていない」

「…承知しております」


「内々で済ませて頂いた殿下に感謝するんだな、まあ方便によりオリゼの責任に全てなっているが…一言詫びを入れろ。

今から殿下のところへ向かうから、お前も付いてこい。」

「…え」

「…あ?」


「…オニキス様、参りましょう。定刻までもう猶予はありません」


思わず漏れたビショップの驚きの声に

進む足を止めて振り返るオニキスを促しながらもビショップに早く立って着いてきてくれと視線を送る






「…畏まりました」


そう言って力無く立ち上がったビショップを見て再び歩き出すオニキス

扉を開けて通す間に復活したビショップも通して、後に続いた



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