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責18



オニキスに変なことを言われては困る

その思いから立ち止まり、

ビショップに向かって振り返える




「再度聞く。何でこんなことをした」


振り返ればオニキスみたいに眉間に皺を寄せている

主従…似るものだなと場違いにも笑ってしまう

俺の笑い声に眉をあげる…その仕草もそっくりだ…


「…貴方に対する後ろめたさを消すために…

作った借りを返したと自身を納得させるためだけに行ったことです」


「…あの不味い料理でか?」

「私自身が納得できれば良いのです。味が酷かろうと貴方の口に合おうが合わまいが関係ない…それは問題ではないのです」


「酷く自己本意だな…にしても食材が無くなっただろ。それはどうするんだ?」

「…何とかします、ご心配な「また携帯食料か?」…そうです」




「禁足が解かれたら俺から報告する」

「…結局は言うのですか。言わせておいてそれですか」


脅しといて…

言ったら黙ってくれると思うのが普通だろうが

そう怒って言えば


「禁足だろうが死罪になろうが、俺の主が不必要に食を絶たせるわけ無いだろ。

ばれてないと思っているのか?お前がこうやって運んできていることも…食材だってなくなったことも多分ばれている」


「…そうですか」

…食材は一緒に買いに行った

それも帰り道はそれが入った紙袋を持って貰った…量くらい何となく察しはついているだろう。

そして先日詰問の返答に…

一ヶ月の休日分は食材は足りると言ってしまった



つまり毎日ならば、もって約1週間

…ビショップに提供していると知れているならば

どちらにせよ…か。



「…変なところで呆けてるって主が仰っていた意味が分かった。

お前馬鹿だな」

「なっ…馬鹿は貴方でしょう?」


「…お前…馬鹿はお前だろ。

わかるまで馬鹿って言い続けてやろうか?」


「…いえ、馬鹿は貴方です。実際に死罪にでもなったらどうしたんですか?

オニキ…いえ仮の主人が貴方のことを大事にしてるか…貴方、分かっているんですか?」


「馬鹿はお前だ。死罪を被ろうとした理由はなんだった?

主がどんだけお前のこと…大事な友だと思っていらっしゃるか、お前の方こそ分かってるのか?それに振り回されてきた俺の身にもなれ」


「…っ」

馬鹿呼ばわりにカッとなって言えば

その刃は同じく己に返ってきた…


「まあ、俺にも言う資格は無くなったが…」

「…その通りですよ」

「お前にだけは言われたくない、資格はなくとも返すくらいは良いだろ?」


「…同じ言葉を返しますよ…本当に意地が悪いですね、ビショップさん」

「オリゼ、そう言うお前も相変わらず可愛いげがないな」


「…そんなものなくて結構です」

「そう言うところだ…素直になれば良いのにな?」


「っ…部屋に戻ります。

…貴方も少し寝たらいいのではないですか?」


売り言葉に買い言葉

矢継ぎ早に交わした言葉をそう締め括る…

言い合いしている時間はないと、

今度こそそう言い放って給湯室に行く。


閉めかけたドアの隙間から見えた表情は

普段から己に向けられていた恨みの籠ったあの目ではもうなかった…



回収したシェラカップらを洗って使用人部屋に戻ると、

洗い終えたそれらを適当に机に置き、すぐに布団に向かう

…疲れた

束の間の幸せに包まれる

もふもふと肌触りを楽しめばすぐに寝てしまった







朝、か…


思えば…苦手な朝も自然と起きれるようになった。

4時過ぎだ…いつもより遅い

講義の復習も予習もする時間はもうない

オニキスの使用部屋に行かないと…と

執事服に腕を通す


すっかり長くなった髪も麻紐で一括りにして結ぶ…

簪は反省室に行く前に机に置いたまま、

…後半日すればまた付けられる。


そういえばラピス…何してるんだろうな

ずっと会っていない、朝を一緒に食べると言ったこと…

一度も履行することなく1週間



優秀なルークのことだ

ラピスの為に状況は把握して伝えているだろう

俺の自室はともかく知る限りオニキスの部屋に来ることはなかった…

丸々1週間会わない内に怒りが増幅されてなければいい…


そう思いながらオニキスのために

リネンや着替え、コーヒーの準備をしていった





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