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責15



もういい

そんなことを言うのであれば、

言いたいことは全て言ってやろうじゃないか


プライドなどくれてやる

折ろうが壊そうが好きにすればいい…

青筋が立つのが分かる…




「…恨みます、友が私のために侍従を犠牲にしたであろうことを

友にそんな処断をさせたことを。

…そして友としての自分にも


…分かっています。

友が侍従の罪を肩代わりすることを殿下が許した…

その代わりにケジメとして友に侍従を処断させたであろうことも


それくらいならば私にも…想像がついています。



私が友人として無責任な行動をとったこと…

自傷感情に任せ、患者の義務を放棄したこと

…反省しています。


決して侍従の技術不足ではありません。

ましてその主人の指示不足でもありません…


殿下への侮辱ともとれる発言があったと言っていましたが

ただ、私の分まで傷を労ること(正しい行動)をさせてしまっただけのこと


…侍従は主人の命に従ったまでのこと

その主人…友に傷を治させなかったのは私自身です。

二人に下した処断は本来私のもの


断罪されるのであればどうか私にしてください…

…お願いいたします。」



額を床に付けて…低頭して


友に…

オニキスにもビショップにも

これ以上世話になるわけにはいかない

それが命に関わることならば…

それが自分が原因であるのは明白

今からでも遅くない…殿下の処断を絶対に撤回させないといけない



そんな

決死の思いで発言した…




「…それも二人を処断したほうがお前には効くだろう?」


返ってきた

温度のないその言葉に震えがついに止まらなくなった

処断の撤回もする気はない…と?


武者震いでも

怒りでもない

ただ…ただ悲しい




"分かるまで顔を見せるな"だったか?

殿下がそう言ったんだ

それなのに殿下が自ら指示してアコヤに俺を運ばせ…

…結果顔を強制的に見せさせられたのだ


それでも顔を見せたからには

"分かった"ということを示せ…

これが活路か?

唯一の道なのか…


そう言うことか

殿下は俺に自らを友と認めろと言うことか

許しを乞えと言うことか


ならば…

望むような言葉を、

言ってやればいい…


そうすればいい

そうすれば…

こいつは納得すると信じている。


俺に無理矢理それを認めさせるならば…

そしてこんな方法を取らせるまで苦しませたのだろうから。

オニキス達の事を考え無いように努めれば…


平静を保っているように振る舞っていても、

求められる完璧な立場を見せつけていても…

悲しんでいたことは知っていたから、

俺を、

心配していたことは…分かっていて無視し続けてきたのだから


これくらいは、

信条に反しても…言ってやってもいい



「…恨むはずが、恨めるはずもありません。

友が私のためにしたことを

そして友にそんな決断をさせたことを

…そこまでさせた自分自身を1番に恨みます



…分かっています。

私を守るために自身の使用人としたことも

その代わりに友としての立場を犠牲にしてまでも

嫌われる可能性を鑑みた上で…

普段は使わない権力を行使させたこと、

…悔いています。


今まで友人として振る舞いながらも、

一方ではそれを否定し距離を置き続けてきました

決して蔑ろにしている訳でも否定している筈もありません…


ただ認められなかっただけ

…私が友として受け入れるのが怖かっただけのこと

受け入れた後で否定されることを、

勘違いであれば取り返しがつかないほどに傷付くのを怖れて。




私の友人を人質にしてまで

逃げ道を塞ぐ為に主人の顔まで使って…


友が死に向かうことの悲しさを

それを止められない苦しみを

ただ友として心配したんだと認識させるためだけに

自らの手でその友を苦しめ、痛め、自由を奪ったのでしょう


…それ以上に傷つき心配し

したくもない判断をさせました


…どうか…お許しを」


頭が床に落ちた




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