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責9



渇いた…

カップに目をやれば空

そうか…作法を無視して飲み下したんだったか…


思えば、

殿下の傍仕えはとっくに席を外していたらしい

それにすら気付かないほど、

目の前の相手との会話に必死だったのか…


時計に目をやれば、

もうこんな時間か…

此処に頭を下げに来てからかなり経っている…

ビショップはどうしているか、

それに…オリゼの事も心配だ。




「さてと…もう正午近くか…あ、昼も食べていくよね?」

「…」


ご遠慮したい!!!

俺の視線に釣られたのだ、

時計の針が指す時間を殿下も把握した


そして思ったのは…

飯の時間だと?

おまえ…それどころじゃないだろうが




「…オリゼが心配じゃないの?」

「心配に決まってるだろ…」


は?

飯の誘いと、

オリゼの心配が何の関係がある?



「知る手だては俺を通じてだけだと思うけど…」


「…ちっ」



「本来の規定を緩めてる分も含めて加えれば一週間…耐えられると思う?

もう傷の手当ても食事もないよ?」



自分の傍仕えの事も心配なのだろう…

それでもオリゼの事も気掛かり、

だから俺の誘いには乗る…オニキスならそう判断する


俺が規定ギリギリで許したのはオニキスの侍従の世話だけ

アコヤは規定通りの管理のみ

…その傷の手当てと食事を運ぶ要の侍従は部屋で謹慎させてるものね?

ここで、

その要の代わりを…代案を得られなければオリゼは限り無く衰弱する


優先すべきは、

自身の傍仕えの一食や処断の言い渡しを今すぐに執り行うことではない



「…俺に何をさせたい」

「情報提供」


「皇太子殿下に集められない情報を?俺が?」



「…オリゼ、最近はちゃんと食べてる?」


嫌味を含めて返せばふっと笑って言う…

すごく普通だ…あいつ何してるの?的なノリだ

切り替えについていけない…


「そこにいる側仕えに調べさせればいいじゃないか」

「平日はちゃんと食べてるのは知ってる…

でも…"部屋を暴くのは好きじゃない"」



「…提供したら?」

「平日は反省室から出してあげる。期間は変えないけどね

あ、メニュー希望ある?」


見返りはあるのかと聞けばそぞろに返され

呼んだ傍仕えに昼食を頼みながら聞いてくる…

俺が情報を渡さなくても…どちらでもいいとでも言うように



「わかった提供する。昼の内容はそちらに任せる」


そう?

じゃあ適当で良いよと耳だけで確認して側仕えに言い放った

承りましたと出ていく背中をみながらふと疑問に思う


「…なんで俺に聞くんだ」

「オリゼが食事管理はオニキスに任せてるって言っていたけど違うんだ?」


「…違いはしないが、

平日は管理できても今日からの休日は手出しできないじゃないか」


「…なら情報はないって情報で良いのかな?」



既に判明している携帯食料と抹茶以外に何もないと…

それ以外の新たな可能性はと聞きたいのか。


提示する情報が、

提供し得ないと…無いと分かっていて自分から交換条件だけを手に入れるつもりかと…

険悪と迄はいかないが、

表情を消した交渉相手に白旗を再び上げたのだった




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