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責7





「生活どころか授業にまで目に見えて影響出始めてただろ…だから身を引くって言うし…極めつけはこの前のあれ、多分死のうとまでしたんだろ?」


思い出したように、

オニキスが口を開く


「…被ろうとしたあれほどの重罪、死罪で足りたかわからない」


「…だよな、国庫の不正着服だったか?」


「簡単に言えばそうだ。まあ叔父が犯人だと告発するオリゼの手紙が…

決定打のそれが少しでも遅れていれば執行まで間に合わなかったかもしれない」




「ラピスと友人のあいつがそれが間に合うかどうか知らないわけない」

「ラクーア卿と俺が動いた…オリゼがしていないと罪を被っていると信じて…材料も調査もしていたからこそ手紙は証拠として効力を発揮した、だから際で間に合ったんだ…」



本来は間に合わない

オリゼが俺らのことを勘定に入れていたとしても

間に合わない可能もあった。


手紙がなかったら…

そして俺らを試す真似を…

もし俺がオリゼを信じて行動に移していなければ

信用していなければ…

父が捜査を認めなければ、

オリゼの家やラクーア卿の協力が無ければ阻止できなかった


ただの自殺になっただろう…

本当にたちが悪い



「だろうな…死ねなかったあいつが次に何したか分かるか?

益々身内が罪人だと釣り合わないと引け目に思ったんだろ…縁を切ろうとしてきた」




「オリゼらしい…だから俺は主従契約させたんだ」


「…知っている。最善策だとは思ってないことも…俺らの代わりに一線を越えてくれた。同じ友を持つものとして感謝している」


権力なんて使おうと思えば使える

少なからず俺だって、ラピスだって…


でも"友人"として越えてはいけない一線を越えれば…

繋ぎ止めることはできるだろう…ただそれは今までの"友人"ではなくなるはずだ




友人を想えばこそ繋ぎ止める

繋ぎ止めたなら友人ではなくなる


そして繋ぎ止めなければ…あわよくば死のうとする

常に目を配れる訳じゃない

あいつがどんな理由でも"生"を諦められないような楔を



俺には役が重い…

本気であいつが死のうとするのを阻止するならば…

薬漬けしか出来ることはない

ラピスだって家業を持ち出せば

自害しないように体を縛り付けるだけだ


俺らが主従契約をしたって効果は薄いだろう…

そもそも俺らにその決定権もない

当主の…俺らの親が許すはずもない




"皇太子"の権力なら…

陛下に睨まれることを覚悟で独断を下したのだろう


国家に関わる罪状の罪人…その近縁だ

監視名目ならばなんとでもなると思ったのだろう


そして繋ぎ止める楔としては最高だと…気づいた


監視対象だ

逃げられはしない

生活態度も学園生活も手を抜けない

侍従の見習いとして勉強も振る舞いも求められる


オリゼにとってそれは強制力のあるものだと分かっていて、

友としての関係を崩すことになると知っていて…

それに自己嫌悪に自殺しようとした、

そんなオリゼに努力をさせれば…

また挫折を味わった際の危険を孕むと危惧しながらも、断行した。


きっと最悪のシナリオも、

…それが悪く影響を及ぼせば…今度こそ堕ちて殻に閉じ籠る事で止まらないかもしれないと、

それですら生易しいと折り込んだ上で…対策すら考えていたのだろう


全ては…

無理矢理にでも、

オリゼが立ち直る事を願って…

きっかけを作ったのだ


きっと友人ではない、

親友以上にオリゼのことを考えているから…


だからこそ…それを含めて、

きっとこの皇太子はその決断に踏み切ったのだ。




敵わないな…

持ち得るものを必要ならば使う

そして、それを考え得る限りの最善の方法で…

同い年である筈なのに…


「…友としてあることを捨てた訳じゃない」


寂しそうに呟く

そんな声に思考を止めてそれに同情する


「分かってる…ただあのひねくれものがあちらから一線を越えて友として戻ってくるかは分からないぞ?」




「いや…オニキスもまだまだだな」


捨てた訳ではないと、

殿下がその気でも…はいそうですかと容易にオリゼが歩み寄るかと指摘すれば…


ゾクッとする

先程の寂しそうな表情は一変

妖艶さも混じった危険な笑み

…言葉を失った





「なんで私刑とは言えあんな軽かったと思う?ああ、俺の情を抜くならばだ」


「…い、いや」


「…そんなに脅えるなよ…オニキス。あれはあれで終わった話だ。もう済んだことだと先程も言った」


目を反らすことも忘れて見ていれば

冷や汗が流れて落ちる音が聞こえるようだ

その様子に

目線を反らして溜め息が一つ


わかった…恐いなら抑えてやると表情を戻す様に

更に恐くなる…



これ、楔としては最高峰なんじゃないか?

これならばオリゼも死ぬ気にもなれなそうだ…と、

自身を目の前の危険から守るように…ずれた思考に頭を回転させ始めた



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