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講義9





他の選択講義も大体は同じ流れのようだ

予習した知識を確認して指摘と追加の繰り返し


野草茶の知識に

保存食の注意点


独特な教授ではあるが、

今日の生活魔方陣Bでは身に付けたかった魔方陣を習えた…





部屋に戻って早速その学習の成果を使おうと、

熊笹を乾燥魔方陣を描いた紙の上に広げる

魔力を注げば一瞬


なぜかもう1つ…

乾燥のそれの他に、教えられた粉砕の魔方陣に移して粉茶の出来上がり…

あの教授に…熊笹茶作ることばれてるのかと勘ぐりたくなる

いや、まさか…な?


まあいいか…

どちらにせよ規律に違反することにはならないし、

便利なものを身に付けられたのだから

万事上手くいっていることだろう。





乾熱魔方陣の上によもぎを置いて…

何度か揉む作業を間に挟む


使用人部屋から持ってきた

サバイバルナイフでドクダミを細かく切る

後はよもぎと同様に処理する


昨日洗っておいた空の紅茶缶

お気に入りのダージリンのそれだ

乾熱で滅菌してから出来上がったよもぎとドクダミを入れて蓋を閉める


熊笹の粉は空いた棗に入れる

抹茶も無くなったから調度よかった

これは使用人部屋で飲もう…

溶かして飲めばいいからだけだ。手軽だしな



しおしおになった…

無惨な姿に変貌している…

からすのえんどうは…まあなんとか食べれるか?

スープはともかく炒めればなんとかなるか…


明日は買い出しに行く…

早めに寝よう

明日になればしおしおからどんな姿になるのか、

想像はつくもののそのまま放置して…

棗をもって使用人部屋に上がる





小さいながらも機能性は悪くない

その自室よりさらに簡素な机の引き出しにしまってから

直ぐに梯子をのぼる

寝る前に……魔方陣抜きに布団を整える


左腕がまだぐるぐる巻きの上に

技能的にも未熟

だから、上手く出来はしないが…

ベットメイキング位出来るようにならないとと練習がてら


仕上げに陣を発動させて乾熱させれば、

日だまりの匂い…


ふかふかのそれに潜れば…微睡む事もなくすぐに寝落ちた様だ

夢すら見ることなく、

再び覚醒したのは直ぐに朝が来た




毎日やろう…練習にもなるし

ふかふかの布団があれば最高だし…

熟睡出来た…

二度寝の誘惑を振り切って


…今日は誰も居ない

安堵に息が漏れる


数日振りに使う9階の給湯室

1つのシェラカップでお湯を沸かして

もう一方には茶杓で粉茶をシェラカップに入れる

…注いで混ぜ溶かせば完成



ズズッ


…飲めなくはないな

慣れたらこの癖も美味しく感じられそうだ

初挑戦にしては中々の出来上がり

そう満足して部屋に戻る



ローブと…

よれたシャツとズボン


本当は着物が楽だけど、どんなに城下の外れに行ったとしても着る人は少ないし目立つ

黒一色のその着替えを抱えて下の部屋に向かう





今日は選択講義がない。

…結局は押しきられたまま、午後は二人と買い物に行く事になっている


昼飯の後、

直ぐに部屋で着替えて迎えるように算段しておかないと…

歩くだろうし時間は大いに越したことはない

机の上に置いて…


視線を後ろに向ける

机に置かざる負えなかった理由は

ベット周りは既に俺のスペースじゃないからだ。

…あの日から二人が訪れる度に…日に日に物が増えていく




あいつらの部屋の方が広いのになあ…

駄弁るにしても勝手の良い…あいつらの部屋に本来は俺がそっちに行けば良いだけ、だが俺の方から訪れる気は毛頭ない。

だから文句を言えば…

二人から俺らの部屋に来れば済むと言われるから面と向かって言葉にしない

が…


最下位クラスより、上の階にいくほど居室は広く部屋数も増える

殿下なんて四部屋位あるし…

あいつらですら三部屋…


俺、一室なんだけど?

その半分使えないってどういうことよ…

物置小屋としてのスペースとして使用人部屋があるからまだいいけど、簡素でないその部分は掃除の手間が増える…

そう、

折角の狭い居室の数少ないメリットが消えたのだ


一人でぼやく権利くらいはあるだろうと、

その手間発生源を…

それを片目に見ながら

制服に着替える



迎えに来た二人と朝飯に…

後三日だ

後三日我慢すれば好きなものを選んで食べよう…


目の前の

オートミールを始末して

ヨーグルトと果物を口に運びながら思う


粥も最悪だがオートミールなんて更に最悪

コップに水を大量に注いで持ってきたが既にない

味も食感も何もかもが嫌いだ

口に含むだけで鳥肌が立つほど、

ぞわそわと背中が戦慄したように悪寒が走る


そんな物を

何度か噛まなければいけないのだ…

噛み終えれば即座に口内から消し去るために、

流し込む為に沢山水を飲んだせいか腹がちゃぷちゃぷいっている…


流し込む俺を見て…

物言いたげにオニキスとラピスが見てきたが

我慢して反芻もしているのだ…

だからなにも言わせはしない…食べてるんだから文句はないだろうと視線で反論した


フレンチトーストとローストビーフ食いやがって…

そんな俺の好物を、

俺の視線にも素知らぬ顔で食べ終えた二人を見返したのだった






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