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講義4




朝ならば良いと言った、

その俺の言葉に顔を見合せ…


「…絶対だぞ」

オニキスが釘を刺す


「ああ、…約束する」


「…もし違えれば?」

ラピスが問う



「二人の好きにすればいい」



馴染みのある言葉を交互に聞いてくる二人

そして、俺も定型を返す


合言葉だ。

違約条件は…まあ考えないようにしよう

とりあえずは守るつもりだし…

仲直りの定番と化したそのやり取り




「…飯に行こう」

振り返って二人に言う

一週間は仕方ない…


そう思って言えば

ニヤリと笑う二人……


部屋から先に出して

その後に続いて付いていく




さてさて、夕飯はなにかな…

二人はBコース…


季節野菜と

果実のジュレに


ヒレステーキ

鱈のムニエル

…紅茶のマカロンか




対して俺は日替りコース

何故あるんだろうか?


この良いタイミングで…

何かの手回し感が…いや、考えないようにしよう


ワンタンのスープ

木耳と空芯菜の炒め物

薬膳火鍋


胡麻団子…

飲み慣れない茶…


うん…渡された丸薬を飲む




まあ美味しかったが…Aコースのラム肉食べたかった…が、

メニューをとって開くと…それを見るなり強引にオニキスに奪われたのだ

選択の余地はないと示されたと同然…だった






ラム肉…

ラム肉…


部屋に戻る道すがら

食べ損なったジビエ料理に思いを馳せる



俺の部屋に戻るなり

扉を閉めるなり…ラピスが笑いだす

何事かと思ってみれば

オニキスも笑いだす


「なんだよ…二人揃って」


二人が…

我慢していたとばかりに吹き出し…笑い続けるのを見る



「だって…オニキス、見た?あのメニュー取り上げたときの顔」

「くくっ…普段はしないけどな、傑作だったな!」


「…お前ら…黙って従ってれば」


食の恨みは怖いぞ?

それも俺にとって普段は決して譲らない食こだわりも知っている筈

そう暗に含みを持たせ、

そう言うも…



「だって約束でしょ?」

「こんな機会なんてないだろ…あのオリゼの食事が管理できるなんてなあ?」


「ふふふ…まあ後一週間は楽しめるんじゃない?」

「このくらい楽しませてもらわないと割に合わないよなあ?」


ニヤリと笑う二人



「…はぁ、分かった…存分に楽しめば良いだろ」


ちっ…言質を取ったから大手を振ってやりたい放題か?

まあ…

それで溜飲が下がるなら儲けもんだ

好きにすればいい…


オニキスも必要なことだからやるのであって…

いや、それに嗜好性も多分に含ませるだろうがな。

俺の栄養面を考慮し、回復に必要な物を選んでいる

…憂さ晴らしにしか感じなくなってきたが、信じて良いんだよな?

オニキス…



まあいい…放置しよう

噛み付いても分は悪くなっていくだけだ


机に向かって席につく、

仕舞ったものを取り出す…

昼にやった基礎講義の復習をもう一度

軽く予習するか…


保存食の資料を右手を伸ばし本棚からとる



チラリと背後を振り返れば

笑い終えても

何故か腰を落ち着けて談笑し始めている二人



それに楽しそうにしているならいいかと、

構わず机に向かっていれば…


扉が開閉する…


仮にも俺の部屋なんだけど?

互いの侍従も俺の入室許可の返事なんて待たない…いや求めすら初めからしない

二人が勝手にルーク達を入室させては

紅茶に茶菓子…色んなものが運ばせている


いや…良いけどさ

構わないけどさ…釈然としない


甘味を摘まみながら話している二人を見て…何を言っても無駄だと考え直し…

溜め息混じりに資料に目を戻した








野草の活用ね…

なんだ見慣れた雑草か?


いや、野草…薬草にもなるのか

パラリとページを流し読みしていく

一通り目を通し終えた




気になる項目だけ戻って見ていく

よもぎにタンポポ

どくだみ…ハーブ類


摘んで洗った後

乾燥させる…軽く煎って好みのブレンドをする

好みのブレンドは良く分からないが…

瓶や缶に保存するのか



紅茶は去年飲みきってそのまま…

買い足す訳にもいかないし…

抹茶ももう殆どない…流石に飲むのが水ばかりではと野草茶の項目を見ていく



うん…

これならその辺で摘める。

まあ…人目のない時間にでもいくか…

流石に道端、講義棟まわりで摘むのも人目につく…


さてどうしたもの…ん?

あ、剣の授業で使う練習場でいいか…まだ平地でしかやっていないが上級生は隣に広がる里山を山林に見立てて練習するそうだ

あそこなら、よもぎ位はあるだろう

何処にでも生えているし…



当座の計画に組み込めばいい

金を使わなくても少しはましな生活になる。

それに…

夜営や今後の実習でも役に立つかもしれないと、

必要事項を頭に叩き込んだのだった…



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