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悪友4




「オリゼ」


ん…

「オリゼ…起きろ」



「…」

眠い…毛布を被ってぬくぬくするんだ

起こしてくれるな…

頭まで潜り寝返りを打とうとして


「…っ」

…激痛が走る

一気に目が覚めた



「基礎講義行くんだろ…飯も食いに行くぞ」

オニキスか…

目を開けて声の方を確認する




「…自室に寄っていいか?」

体をずり落ちさせて起き上がる

眠い…目を袖で擦って生理的に出た涙を拭く

時計をみればまだその時間もある…早めに来てくれたようだ


まだ開ききっていない瞼を持ち上げながら立ち上がる

体の節々が傷む

首を回して解せば…


ふらり…

頭に糖分が足りないか…

なにか胃に入れないと…

鈍痛にも似たこの霞んだ頭

久しぶりの感覚に笑みさえ漏れる…


殆んど寝てばっかりいるときは、よくこうなったな…

あれからまだ二週間も経っていないんだなと、

…あの怠惰で堕落した生活が遠い昔のように感じる




覚醒しきっていない脳内

オニキスの後に続く…




そう言えば…

侍従服で通路は通ったが表に出たのは始めてだ


すれ違う学生に気をつけて歩かないと…

1歩先に行くオニキスに、

…使用人としての立場を、この距離を感じたのは始めてだった




「…ラピスは先に行ってる、早く着替えてこい」


ラピスの姿が起きてから居ないことを

気にしていると思ったのか…

ゆっくりと歩く俺に歩調を合わせたようだ…

着いた自室前

…待つと言う友人に




「…畏まりました」


そう言って自室に入る

羽織ってきた上着を制服のものに変える

袖は右だけ通す…

ズボンも履き替えて…準備しておいたバックを肩にかける



違和感

右にかけたバック

普段なら左肩からかけるそれ


重いな…

そんなものだったかと、部屋を出れば

壁に凭れながらこちらを見やったオニキスは直ぐに歩き出す

…お待たせしました


そう背中に言った






食堂

不自由だな…

取ろうとしたスクランブルエッグ

いちいち何かを取ろうとする度に盆をおいては開けた手で盛らないといけない…


それに…バックが邪魔だ

簡単に食べられるものにしよう…パンとチーズで良いかとスクランブルエッグをやめて先に進もうとする



が、

オニキスに阻まれる

スクランブルエッグならば皿によそわれている

だから先に進むのが道理で、

ここに立ち止まる理由はない筈だ。

…あの?

何ですかね?と流れを止めるオニキスを窺えば


「…卵と肉、そこの人参のグラッセに粥、飲み物はレモンティー…コーヒーは認めない」




「…」


「取り分けて欲しいなら取るが?」


半場強制が、強制になるくらいならと…

結果は変わらずとも心証的には変わるのだ。

振り返り目に写ったその顔こ表情に…

仕方なくやめたそれを取る


後は…グラッセと…

肉…あまり動きそうにない胃


気が進まないと、渋っても取り分ける迄立ち止まってくれるのだから…

因みに後続はラピス


順番を変わって急かしてもらう、

そんな手段は取れない。

早朝で他に並んでいる人は俺ら二人以外には誰もいないのだから…

そんな考えを察したのか

…勝ち誇ったような、どう見ても圧力をかけてくる笑みに溜め息を漏らす。




…今食べる気分じゃないんだけど

いつになく油まみれに見えるベーコンを一枚



ああ…

マッシュポテトと

バターをたっぷりつけたパンにしたい


チーズも全種類…

砂糖を沢山入れたコーヒーも…

目をやるが…



大人しく従いますよ…

従えばいいんでしょ

人間の食べ物とは言えない代物を取り分ける

杓に少なくよそうも、

オニキスは動かない…もっと食べろと言うのか?

ちっ、この極悪非道め…




紅茶にレモンも取る

これで満足だろう…


好みは知っているはずだ

普段から好き勝手に食べる俺に良い顔はしない

食事を録にせず、布団に引きこもっていた時でさえ俺の要望を聞いたものを持ってきてくれた。


思えば…それでもここまで細かく食べるものを指示されたことは、

強制されたことはなかったな…


だから…これくらいは許されるのではと、

スモークチーズを見ていればそれは何故か許可が出たのだった




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