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回収3





コンコン

「連れて参りました」


「…ラピス、この状況はなんだ?」

ルークの声に目線だけ動かせば

部屋に入って周りを見渡す友人…


さっさと傷でも処置してどっか行ってくれ

これ以上混沌とさせてくれるな…

そう思いながら見ていると



「オニキスか、丁度いい。傷が悪化したみたいだから呼んだんだ」




「…ひっ」


ラピス…その言い方はマズイ

俺がサボって悪化させたようにしか聞こえないだろ!


「…処置して良いでしょうか?」

一応殿下の使用人だ

凄まじい形相をしている…

殿下に許可を求める声も地に這うような声になっているが…


「ああ、お願いする」


そんな態度でいいのかと見た殿下も意にかえすどころか楽しそうに笑いながらそう言う…




どうしてくれよう…

目の前まで来たオニキスが修羅のようだ

あんだけ言ったよな?そうぼそりと呟きながら

薬箱を侍従に持たせながら側に膝をつくオニキス



「ルーク、オニキスの手伝いをしてやってくれ」

…デスヨネ



首元から離れていくラピスの手

ソファーに戻るようだ…


分かりましたと言う声に

代わりに首に腕を回しながら固定され…上着に手をかけられる感覚



発言も抵抗もない

されるがままに脱がされていく


オニキスは…

…侍従に薬箱から色々取り出させて受け取っていく


「ビショップ、包帯を取れ」

畏まりましたとばかりに

オニキスの侍従が右腕に触れてくる



うん?右?

包帯を取られれば少し痛んだそれ

…みれば化膿している傷口


オニキスを窺ってみれば…もはや能面のような表情



…包帯すら巻き直しもしなかった右

かすり傷だしと思っていましたが?

もしや…

こっちもやれってことだったのか?

気にもかけてなかった…



…いや、でも左腕はやってた

消毒もしたし包帯も替えたし、その点は褒めてくれないかな?

なんて喉元まで出てくる言葉を飲み込む

発言が許されていたとしても言ったら恐い…

何か余計なことを口走らない様に口を結び直した…



あ、左も

さっきの衝撃で左腕もあまりいい状態じゃない気がすると

それに気付いてしまえば…


自然に落ちていく目線




「押さえてろ…オリゼ動くなよ」

いや、その程度の傷で…とどこかで慢心していた


染みる消毒の後、気を抜けば…

ビリビリと麻痺するようなする感覚

…思わず腕が動いた



「…っ」

これはなんだと目で問えば


「薬草に決まってるだろ…化膿止めだ」

薬効だろうか…

続くその麻痺するような刺激物をそのままに上から包帯を巻いていく…

このままかよ…勝手にはずしたら怒るかな…

なんて考えていれば巻き終わったようだ



「…ビショップ、次」


心得ております…


いや、心得なくていい…左腕の滲みに滲んだそれに手にかけようとする侍従

気持ちばかり腕が動いたが…


ルークを忘れてた

そりゃラピスの侍従だ…


流石と褒めたいが

それを自分の身で体験はしたくなかったんだけど…と思って気をやっていたのが悪かった

抵抗の意思があると思われたようで…

押さえてくる手更に力が込められてしまった






「いっっ…」


涙目で左をみれば遠慮なく包帯を剥がし終わろうとするところ

…ルークもルークだが

オニキスの侍従も侍従だ。


主人に似すぎなんだよ…遠慮してくれとみれば

なんでしょうか?とばかりの

何食わぬ顔で貼り付いた最後の包帯を引っ張ろうとする…



「…」

お前の主人を怒らせた俺が悪かったよ…

どうせ当たられたんだろう…と

歯を噛みしめ来る痛みに耐えれば…



それほどでも…なかった

予想した痛みはいつになっても襲ってこない

目を向けてみればゆっくり剥がしてくれたようだ…

ほっと一息つく




「…ひでえな」

傷口を見ているだろうオニキスの一言

それに…ドキリと心臓が跳ねる


一先ず痛みがなくて安心していた

その隙すら許されないのか?


…今度はなんだ



海溝並みに深く刻まれた眉間の皺に、

決して俺にとって良くない事であることは微塵に思うことは出来なかった…




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