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腰帯




後ろ手に腕をやられ腰帯の絞められる感覚


肩もオニキスに押さえられている

昼間少しでもこの二人が友人であって良かった…


…何て思った自分を呪いたい






「トウモロコシ粉ってどうやって食べるんだ?」


「さあ?でもオリゼが好んで食べるはずもないよね」


「せっかく心配してやったのになあ?」


「だよね、暇さえあれば布団と美味しいものにまっしぐらなオリゼが選択講義ねえ」


「だよなあ、好きな店にも寄らないし万年筆も買わないしおかしいよな」


「本当にそうだよね…ねえ、オリゼ?」



「…」


俺の前後で会話をする二人

誉めたくもないが見事な連携で

イスに腕を縛り付けられ

腰も太股も足首もどこからか出したベルトで括られた


「なにも言わないつもり?」



「言うわけないだろ、こんなことされて」

何を言えって言うんだ

この酷い有り様にした張本人に対して思いながら返せば



「こんなことねえ?…ああ、質問するの部屋まで我慢してたんだけど?」


「だな…誤魔化すわ、答えないわなあ?」

ラピスに間の手をいれるオニキス



「…聞きたいだけ聞けばいいと言ったんだ、答えるとは言ってない」

言葉遊びだ

その自覚はあるが言いたくない



ふぅん…

そう呟くラピスに

一層唇を閉じる





その様子を暫く眺めたラピス

「…オニキス、少し早いけど夕食にいかない?」


「そうだな、歩いたし腹も減ってる」



「じゃあそうしようか」



…そう言うと後ろをまた漁るラピス



今度はなんだ?

ああ、

鍵目当てか…

当然のようにその鍵を持ちながら出ていこうとする二人







…て、ちょっと待て

俺は?


「ラピス!外してから行け」


「なんで?」


「俺も食べに行く」


「トウモロコシ粉でも食べてればいいんじゃない?保存食が趣向品なんでしょ?」

振り向いたラピスは冷たい目で相手にしないとばかりに扉を閉めていった







勘弁してくれ

このまま放置か…



魔方陣を描くにも万年筆は机の上

インクは机を揺らせば落ちる…


が…所持金の大半をはたいて買ったばかりだ

あれを買い直す金はもう残っていない

安インクを使うわけにもいかない


基礎講義で使うんだ、あれ以上ランクを下げれば兄にも殿下にも迷惑がかかる





…後は引き抜くか

監査家系の嫡男に手抜かりなんてあるはずは無いんだろうけど

と半分褒めそうになりながらも試す


…うん

無理だな




後は…イスを壊すだけか

机に当てるわけにはいかない…



ベットか壁か…


体を浮かすようにしてイスごと跳び跳ねて前進する

これで体重を傾ければ運良くイスの背が壊れるはず…







痛い…

凹んだ目の前のベットの木枠を睨む


ベットの枠に向かって椅子を倒し叩きつけた

同素材同士ぶつけてもそりゃ折れないかと、

自重をかけたとはいえ上半身分くらい…勢いもないに等しい



…無駄なことやったな、本当

一縷の望みはあった気がするが…うん


倒れて横になった視界

…これも慣れてきたわ

残念過ぎることに経験済みだ…



さてと、経験は役立てないと。

こんなときは寝るのが一番

疲れたし寝よう



遥か上階にある自分の布団を思い描きながら

目を閉じた




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