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説明



とりとめもない話をしている二人についていきながら

寮まで帰ってくる


寮監の控え室に帰寮を伝え、自室に向かう




ついた自室の扉…

鍵を開けて二人を促したあと、扉を閉める



「…疲れた」

イスに腰を下ろしてバックを開ける

紙とガラスペン、

…インクはそのままでいいか。

どうせ使うんだし、と石鹸とトウモロコシ粉だけ取り出す


トウモロコシ粉は昨日そのまま忘れていたシェラカップ横

石鹸は畳んだ襦袢の上において…


二人に向き直る



ベットに腰かけた二人は昼よりマシと言えど…

和やかとはいかない、か



「質問があれば何なりと」

なにかを待っている

いや、何かは分かりきっている…からこそ諦めて口にする



「…嗜好品って選択講義に関するものか?その、トウモロコシ粉」


「…そうですね、早速明日から試してみます」

オニキスに指差されたトウモロコシ粉を見ながら答える



「おい…敬語になってるぞ」


「…悪い。明日から食べてみるつもりだ」

つい明日からのことを考えていたら敬語になったか


「それを?食べるのか?美味しいもの好きのお前が?」



「保存食としていいかと」


信じられないとばかりのオニキスにそう言い放つ

まだ開いてもいない保存食の選択講義の教科書

載っているかは知らないが、保存は効く…はずだ





「…なんで街外れまで行きたいなんて言ったの?」


「…っ手持ちが少ないだけだ」


「…見習いとしての賃金は?少なからずあるはずだよね?」


「選択講義代でほぼ消えたも同然」


「賞金は?まだ手を付けてないはずだよね?」


「…帰省の足代と菓子折りに消える予定だ」

矢継ぎ早に返しても質問してくるラピス

…次に来る質問には答えられないか



「…仕送りして貰えば良いだろう?」

トーンダウンした声




「…」

予想通り

いや、違っていて欲しかったが…


そしてその通りだ

仕送りして貰えば済む話

今まで何の気なしに高級品を買ってきたのだから

その仕送りで。

そしてその様子は去年過ごした二人は知っている



「…オリゼ」


「…なんだ」

あからさまに背けた顔をいつの間にか掴まれて向けさせられる

何だろう…デジャブだ


思い出したように首がヒリヒリし始める

昼過ぎのあれか…

目線だけでもと反らす





「まさかとは思うけど…実家から縁切りされてないよね?」


「されてない。されてたらここに通えてない」

さっさと手を離してくれないかなとなんともない壁を眺めながら答える



「…ならいいんだけど」

と今回はすんなりと引いていく手にほっとする



「ああ、こんなところにいいものがあるじゃない」

その声に振り返れば、机に放っておいた昨日着物を干すのに使った腰帯…

手に取りながら言うラピス


「何に使うんだ?」

思わず尋ねれば



「オニキス、ちょっとオリゼ押さえておいて」

物騒な台詞が聞こえてくる


「な!」

不穏な空気に

立ち上がろうとするもオニキスに押し戻される


「ラピス、これでいいか?」


「うん、ちょっとそのままでよろしく」


「よろしくじゃねえ!離せ!」

目の前のオニキスに怒鳴る


「オニキスも聞き足りなさそうだし、離さないと思うよ?」


平然とした声にラピスの方に目を戻せば腰帯を引っ張りながら鞣すように扱う様…


…嫌な予感がする






「そうだよね、オニキス?」

すっかり人の悪い顔になったラピス

険はそれほどに含まれていない…



「あんな表面上の言い訳で通用すると思われたなら心外だ」

予想範囲内…

ニヤリと悪巧みするような笑みを浮かべたラピス

そしてそれに同じ種類の笑みを返すオニキス



気をやってるなら…

そう思い、もがく

…が、大人しくしろと

オニキスの足が太股にのせられて遂には殆ど動けなくなった…



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