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「何処に行くんだ?」

漸く学園の門を通りすぎてからオニキスに聞かれる



「消耗品と…嗜好品。後は散策ですね」


まだ学園が近い

眉をひそめるラピスも分かってはいるのだろう…

言葉には出さないが、やはり不満げだ







暫くして商店街に入る

高級品が並ぶ…

といっても貴族からしたら普通の店

装飾品や呉服屋の店先を眺めつつ進んでいく



「ラピス、文具店に寄って良いか?」

「ああ、構わないよ?」


左手に見えた店に入っていく

二人も何か買うのだろう思い思いに散っていく




新しいインクも、紙も欲しいが…

消耗品に2カラットも毎回使うわけにはいかない


本当に値段なんて気にもせず買っていた

両親の領地の財政など知らないが、

よくもまあ、ホイホイ買えていたものだ…


多く見積もっても3カラットで一年過ごさないといけない

それでも今年度はまだまし…

見習いの給与は1カラットにも満たないんだ




選択講義をまたとることを考えれば来年度はさらに厳しい


万年筆やガラスペンの棚を眺めながら溜め息をつく

どれも10カラットはする

それでも貴族としては安物に近い品質か…



最近溜め息ばかり吐いている気がするなと思えば、

買い物が終わったのか包みを持った二人が戻ってくる


「…おまえ、買わなくていいのか?」


「…ええ、大丈夫です」

なにしに来たんだ?とばかりのオニキス


「とりあえず出よう、散策したいといっていたしね?」


何かあるのかとラピス

商店街を抜けて少し外れまで来る





「…それでなにが買いたいんだ?

好きな野営品店も寄らないしもう商店街も過ぎたが…」


道すがらなにも結局買わなかった俺にラピスが問う

横には色々買った物を小脇に抱えるオニキスにも目で促される



「…石鹸と紙、インクが買いたい。

それと、そこの八百屋と雑貨屋にも入る…本音を言えば城下の外れ近くまでは行って見たかったんだ」


周りに聞こえないように小さめに答える。


周りには裕福な商人向けの八百屋や雑貨屋…向こうには宿屋や住居街が広がっている



…ここまでが限界だ

二人は私服とはいえ貴族然としている。

自分とて頑張っても普通の商人街迄だ…


一人なら訝しく思われても構わなかったがそうもいかない

執事を連れてこなかっただけ有難いと思わなければ…





「…おまえ「寮に帰ったら聞きたいだけ聞けばいい、日も陰って来たここらで済ませて帰る」…分かった」

オニキスの言葉に被せる



「…悪い、楽しい買い物じゃなくて」

ラピスにもそう言えば何かを飲み込んでくれたようだ



「…後で聞くからな」

「埋め合わせしてくれるんだよね?」

少しは空気が解れた…というより呆れた二人



とりあえず雑貨屋に向かう

ここの店だって今の俺には高い


それでも寄ろうとしたのは店先からちらりと規格外や処分品が見えたから


中に入れば少し品がいい贈答品や消耗品が売っている

規格外の石鹸とガラスペン

カウンターに向かいながら

黒インクと紙を手にとって会計する


2カラットと数ルース

痛いな



待たせている二人に次にいくと目配せして八百屋に向かうが

…芋はないか

庶民を通り越して貧民の主食だもんな

貴族向けの商店街近くに売ってるはずもない…


店に入ることなく先に進む

穀物店を見つけて入ればライ麦粉もおいていない

街外れまでいかないと無理だな…冷やかしに来たみたいで嫌だがそのまま出れば


近くに食料品店

入れば…売れ残りのトウモロコシ粉


…なんで諸外国の庶民的なものを仕入れたんだ?

需要がないだろうに…見切ってあるそれを手にとって会計する



これで暫くは大丈夫か

来週、選択講義向けの紙とライ麦粉でも探しにいこう

なんとか買えたと一息



「終わった…付き合わせて悪い」


店先で待っていた二人に声をかけた



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