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…諸経費が少なくてすむのは



遠征術

諸外国の食文化と保存食

サバイバル術

古代からの技術変遷

生活魔方陣B




…これなら一年分の見習いの手当てでギリギリ賄える

納付期限は…手持ちを崩すしかないな…

該当欄にチェックをつけてバックに仕舞う





これで手持ちはほぼなくなる計算だ…

頼りになるのは…食べていた残りの携帯食料を数えるが

一ヶ月の休日分…


多いような少ないような…

とりあえず、

当分の休みはバックパックに残った携帯食料でしのぐか

食事をとってる暇もないだろうし丁度いいかと投げやりに納得させていると



コンコン…

『入りますよ』

声と同時にアコヤが入ってくる気配


立ち上がって振り向けば先ほど迄の緊迫感は無くなったようだ





「…すみませんでした」

頭を下げれば大きな溜め息


『今回、先方は気にしておりませんでしたがこれは稀なこと。以後気をつけてください』


「……はい」


『分かったならそれでいいです。それと、今日は休日ではないので後は自由にしていただいて構いません』


「ありがとうございます」



『…ああ、それと。慣れるまでは通路の扉に印でもつけておくと良いですよ』

淡々と話を進め、

用事は済んだとばかりに出ていく足を止め思い出したように付け加える




…優しいですね


『なにか?』

思わずぼそりと漏れた声に

怪訝そうに振り返り返されるが


「いえ、何でもないです」

頭を下げれば

今度こそ退出していった。




…書庫に行けるんじゃないだろうか?

机上の時計を見ればまだ15時前

結構時間が経った気がしたが…


…失敗してもまだチャンスがある

ここで見切られようものなら、次こそもう終わりだろうな

そう思いながら二つ目の部屋の鍵を手に取る

…その前に


…印


あ、パラコード!



バックパックに結んで付けていたパックコードを切り、蝋燭でほつれ止めをする

制服からクラス章を付け替える。

さて。

使用人通路にでて鍵を閉め、ドアノブにパラコードをくくりつける。


古い教科書もあれば借りてこよう…

数人の侍従に振り返られながらも会釈を返しつつ書庫に向かう。





寮から講義棟に向かう

流石に一人も見かけず、擦れ違わずに書庫についた

講義もまだ始まってないのにそこまで勉学に励む人もいないか…

…大多数は侍従がいる

本人が足を使う必要はそもそもない

…それに寮で資料や新品の参考書やらも届けてもらってるだろう




去年は不真面目な俺でさえ数冊は揃えてもらった…

何も考えず過ごしていたなあと思いながら目的の棚まで歩いていく


侍従見習い入門

侍従心得


…後は選択講義か

二冊を抱えながらカウンターに向かう


始業式から御苦労なことで

…そう思いながら司書に本を差し出す





「二冊貸出しですね?」


「はい」


クラス章を見ながら貸出し記帳に記入していく


「こちらになります、貸出し期限は一ヶ月です」

「ありがとうございます…それと探してもらいたい本があるのですが」

受け取りながらそう聞けば



「どのような書籍ですか?」

別段貴族が借りるはずもない題名の本を貸出ししたのに

表情も声音も変わらない様子


優秀なのか…はたまた…

まあ、どちらにせよこれで遠慮なく聞ける


「選択科目の古い参考書です。それと、野草と保存食に関する本があれば借りたいです」

控えておいた選択科目の紙を見せた


「…」


「なければ大丈夫です」


「いえ、裏を探してきますので少々お待ちいただいていいでしょうか?」


「構いませ…いえ、お手数おかけします」

言い直しながらカウンター側の椅子に向かう



…そりゃあ棚にもないだろうなとは思っていた

後やることは…





そうだ

帰り際、寮監に給湯室の場所を聞こう

…水くらい飲みたい

それで携帯食料が膨れて満腹感が得られるとは微塵も思えないが朝から何も飲んでいないし喉がカラカラだ


今までは水も普通に買っていたが、

売店の飲み物なんて今思えば考えられないな…

飲料用の水が蛇口から出るならばそれを飲むべきだ。

…俺は今後1ルースも無駄に出来ない



手にある本を見ながら考えているとカウンター奥から物音

司書が戻ってきたか…


目線を上げれば何やら腕に数冊抱えているのが見えた



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