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侍従講習8






子息役が質問を重ねてくる


ゲームだとは言え、

ヒントは際限なく与えられるもの…


問われたことに、

子息役が聞いてくることに設定上…雇用されている侍従見習いの俺は答える義務があるからだ




「僕らの気分を損ねてまでなにがしたかった?」

「当主方の快適な生活を守ることです」



「成る程、それが"貴方方のためになる"という言い張る理由か」

「その通りで御座います」



「…つまり、この状況を作りださなければ僕らの生活に支障がが出ると主張するんだ?」

「はい」


「確認するよ?

君がしたことは僕をここに連れてきたことと父の前から傍仕えを退かせたこと…それによって侍従は3人、いや君を引けば2人浮くね…併せて考えると"支障を出さないためには2人の人員が必要"、そう言いたいのかな?」

「御名答です」




「僕の傍に侍っていたのは君と同じ見習い…純粋に1人浮かせ、傍仕えを動かせるようにした。

リスクを省みず自身を差し出すような真似をしたのならば、傍仕えにしか成し得ない何らかのことが発生した…

報告する義務の無い範囲で。

ん?違うなそれならば僕の相手をしていた侍従を浮かせる必要はない。

君だけでは出来ないことが傍仕えと1人であれば出来る。そういえば古参の侍従が臥せっているんだったな…

ああ、仕事が滞っていると言うことか?」


「恥ずかしながら…

私の力が及ばないせいで御座います」




「出来かねるなどと言えないから…そう言うのか?

確かにそれを口にすれば責任を取らされるのは傍仕え、君に責任を取る立場も資格もないからね。


父や僕に少し時間を取られるだけでままなっていなかった進行は更に遅れる。

この状態から履行出来なかったとなれば、処遇が加えて下される。

今回乗り越えても再び司令塔を更に動けない状況下に置けば更に別の業務遂行も成し得ないことは必須…

そしてその処遇を…負の連鎖だ」


「全ては私が未熟なせいで御座います」





そう…全体としての不履行だと断言すれば

このリスクを負った意味がない。


既に全員で必死に動いてこれなのだ…

この2人の機嫌を損ねれば、また同じ状況に陥ることも考えられる。

その時はこの俺の戯言に付き合ってくれるとは到底思えないばかりか、すぐに処断してくる筈。


それに…慢心している訳ではないが…俺一人の作業消化能力ですら必須だ

猫の手ですら借りたいのだから、

何度も容易に罰など受けられはしない…




それでも今回、

全て俺の責任だと言い張っているのは…

責任を取れない見習いであっても


…そう、

言葉にしているのは…





「そうして全て被るつもりか…

否定すれば偽ることになる、君だけでなく上司である傍仕えが管理能力を問われる。

正直に肯定しても越権行為で罰を受ける…加えて体調管理も怠ってこの状況に至らしめた責任を臥せった侍従達が、傍仕えや他全員の見習いが不履行を理由に処罰されるのは道理。

…一身御苦労なことだ。

今僕らを足止めして時間を巻ければと、今裏方であくせくしているのだろう?

盾になってまでこうしている…そこまで切迫していると表現しても過言ではないんだな?」


「…っ、はっ」




御名答だ

そう、

この子息に、主人に状況把握をして貰い無理や急ぎではない用事を指示させないため。

推し測れと分不相応に要求している

殆ど越権行為だろうが…

配慮をしてくれと、そう申し上げているに等しい。


見習いの立場上言うわけにはいかないからだ

俺の立場は…

傍仕えでもその補佐役の役職はついていない



だから、あえて俺が足を引っ張っているからだと

要因は俺だとそう言い張って進言している。

…そうして貰わなければ、

此方を思いやってくれなければどうにもなら無いのだ。


俺らが見習いでなければ、

経験豊かな先輩役のように動ければ…知識ややりくりの手法があればやりようはなんとでもあったのかもしれない。



…忘れがちだが、

先輩役に聞きに言っても口を利けぬほどの容態

傍仕えも疲弊しきった様相を…演じていた





他の手段を模索しなかったわけではない

だが気を抜けば忘れかける、

これは査定であることを思い出させてくれただけだった。


何か無いかと知恵を借りに行った、

…安易に解決法等誰も提供してくれなかった。

俺らの頭で考えろとでも言うのか、

そんな意図が見え隠れしていた





「傍仕えや代行でもない君は責任を負うことも出来ない。だから状況を進言する事もなかった、そうだね?」

「…私は一見習いに過ぎません」


「だから、暇潰しでゲームか?」

「その通りです」



「それでも素直に進言する方が、こんな手間取らせて不興を買うよりは良いんじゃないのかな?

どちらにせよ処罰は受けることになってもね」


「…傍仕えに責任は「成る程、ね。どうあがいても個人的な不始末であると言いたかったのか、でもそれも君の上司である傍仕えの管理能力だと僕らが言えばすぐに覆ることに過ぎない」…っ」




「ここまで進行が遅れていると認めているんだ。ならば逼迫する前に、もう少し早くに報告するべきではなかったのかな?

今、素直になれば父に掛け合ってあげる。

思惑通り、君の無礼と仕事をこなせていなかったことに関してだけで済ませるとね?」



「…それでもしなければどうするのでしょう」

「どちらにせよ全て認めさせるよ?

…しなければ愚かであろうと傍仕えを筆頭に全ての侍従に罰も負って貰おうか」



「っ…お止め下さい」



「ならば歯に衣など着せないで聞かれたことに答えるんだね」

「承知…いたしました」









「僕らに直接的に意見すれば反感も買う…明白な規律違反を犯す気はない、責めない所を見ると楯突くつもりは無さそうに聞こえるが…

"実際のところは人員の補填もなく配慮もない"

このままでは快適に過ごせないぞと、僕らの指示や命令…要求が多すぎて履行出来きかねていると報告するのと同義だね?」


「はい」



手に汗が、

嫌な緊張感に身体は正直に反応していく


他人事のように感じていても、

そう、

たとえ…魔法陣を発動していて感情を圧し殺していたとしてもだ




「どうしてリスキーな方法をとった?」

「指示に従うこと、不自由の無いように御過ごし頂けるように設える事が私達、侍従や見習いの仕事に御座います」



「で?」


「私個人が不敬を働き意を汲み取って下さる事に賭けるか、

そのまま全体として主人らの命の履行を出来ないことを臥して待つか…

どちらにせよ処罰を受けるのであれば個人を取ります。


処罰に時間を取られるだけでなく当主方のお手も煩わせます、

人数が少なければ疲労も軽減することに加えて利点も御座います。その後の手当てと業務も考えれば、御二方や他の皆様に不便な生活を強いられるのは必然です」



「熱心だな?」

「業務です。それに傍仕えや他の見習いがどれ程優秀であれど…人一人が行える限界は御座いますので」



「今何か傍仕えが対処しなければならない事象が起こっていて、それを僕らに報告もせず取り繕おうとしている最中…

そう言いたいんだ?」

「命の遂行が遅れていることは事実です」





取り繕う、

その表現にはやはり頷かない…



人手不足

優秀であっても人一人が可能な処理能力の有限性

そして現状の業務の大幅な遅れ

決定打は傍仕えの穴

…その他

そこまで認めても

俺の条件を信じきることなく、全体としての不履行ではないと言い張るか




まあ…

このままでは確実に命が業務がこなせない、全員が叱責を受ける事が確定している。

そんな緊迫した状況下にまで追い詰められた


実際にそうなれば

罰を受ける時間と回復する時間が取られる。

更に業務が遅れ不履行が多発…

そしてまたその繰り返し。




確かに今が

悪循環を食い止めるデッドラインのギリギリもギリギリ


俺ら二人を一人で相手取ることで時間稼ぎをして、

作業を巻く。

今回それで乗り越えたとしても、

先輩侍従役が回復しない限り再びこの状況下は再来することを予測している

   




だからこそ

現状説明ととその把握と配慮を求める進言をする必要がある。

それは本来傍仕えや代行がすること。

しかしそれを実行した傍仕えは叱責され戻ってこない。

このままでは結局は全員が叱責対象になる運命は変わらない。


代行が、

先輩侍従役が居ればまだ違う。

その間に巻けば良い…

だが現実味の無い設定で残された動ける人間は

見習いの生徒のみ

それもその内二人が息子役である俺に張り付かされて動けない…


ならば…

立場に無くとも進言する必要がある

そうこのオリゼは考えたのだろう。

が、進言すれば責任を取らされるのは結局は傍仕え

…既定違反諸々で処罰を受けるオリゼ自身も、その分の時間…一人分の役回りも遅れることになる

だから、進言する事は出来ないと考えた





だからこそ思考を読めと誘ったのだ

進言する代わりに、

無礼と指示違反…その他多くの既定違反を犯して全ての矛先を一身に受けると。

この責任は自身の能力が足りないからだと、

査定の不利になる可能性しかないとしても吐露したのだ。




代わりに傍仕えを自由にさせて、

作業を巻いて貰えば格段に効率も良い。

俺らが考慮しなくても、察することを拒否したとしても

負のサイクルの輪の直径は大きくなる…悪循環の循環に猶予が持てる


確かにオリゼ自身、

巻けたとしても少しだろう…

本人が一番そう自覚している。




…誤差に過ぎないことは俺も分かっている


皆既に一人分の役回りではない

先輩侍従役の看病にその補填

連携しても無理がある状態

…疲れも貯まってきている


指示系統の発案者としてだけでなく

リーダーの一人として、無理のある指示を強制する側として背中を見せなければ誰もついてこない。

それが本能的に分かっているからこそ、率先して人一倍作業や重圧を抱え込んできたオリゼにはもう余力は無い筈だ



だから、無責任にも見える傍仕えへの尻拭いは

指示されたであろう本来の役割すら押し付ける行動は

ある意味理に叶っている。

心象や道理として、

そして侍従として眉を潜めるものだとしても…



思考としては

そんなところだろうか…


だが、理不尽なこと等多くある。

実際…寧ろ無いことなどない

可哀想だが、

責め立てるしかないな…


側に立つ姿が…

頭が下がってきている様子にも容赦すること無く、

口を開いた…




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