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帰省20





「これでいい。

…それで?どうせ白虎と同じで…オリゼの様子を紅茶を持ってくるときに確認したんでしょう?」

「お分かりでしたか…」


「普段なら勉強中に紅茶なんて飲まないよ?」

「…小生へのお心遣い…ありがとうございます。

そして…申し訳ありませんでした」


「いいよ、それで?」


「…微かに嗚咽が…いえ、鳴き声と表現するのが適切でしょうか…」

「そう、体力的にも限界かな…?

昼食二人分、オリゼと同じメニューでいいよ。それと…俺の寝室にタオルケット、用意しておいてね」



「畏まりました…若、片付けを」

「要らない、…ああ、これだけ寝室の机に移動しておいてくれる?」

「承りました」


そのまま、また昼食が終われば…

オリゼを休ませながら

様子を見つつ、別のものをしようと思っている

流石にそのまま寝るとは思うけど…

念のため、ね

罰も終わってないし…


立ち上がれば、

移動分の物を片手に持ちながらも 

既に書斎の扉を開けている青龍


…仕事は出来るんだよ

ただこの家の侍従は癖が強い

時にそれは楽であり、それが良い面も多々ある

…そして難も…ね








さてと…


「オリゼ、反省してる?」


「…み」

「ん?出来てないの?なら…」


「っふ…みゃ!…にゃう!」

「また暴言かな…早く出せって?ふうん…」

「ゃ…にゅ…」


「そう、なら出すのはまだ早いね?俺、忙しいから…

次、様子見に来るのは間隔が開くけど、仕方無いね」

「みゅ!?」





「…なんてね、冗談だよ。

開けてあげるからドアから離れててね?」

「…」

「…離れててね?」

「っ…みゅ」



扉を開けば


耳もぺったりと頭に張り付いている

尻尾も床から離れる気配はない


問い掛けにすぐ返事をしたのが証拠

心が泣いているのが分かる

鳴き声…泣き声か。

兄上と、

ごめんなさいと…そう叫んでいるのだろうと感覚的に分かっていて、

少し意地悪をしたのだ




「おいで?

今用意してもらってるから、ご飯食べようか」

「…みゅ(…はい)」



「それと、まだ罰は終わってないからね?

逃げたらまた入れるから…」

「に"っ…(やっ…)」

「分かった?」

「…なーぅ(…は、い)」




素直…

這うように出てきた…

今度こそ立ち上がる気力も体力も無いことは一目瞭然

立てと言えば立つのだろうが…

出てきたものの、

座り込み、その体を…

地面に落ちそうな体を腕で震えながらも支えている


俺も甘いな…

脇に手をいれて抱き締めるように立たせる

片腕でそれを支え、

抱き抱えてソファーに座らせる…

何故か沢山のクッションが置いてあるそこに…


青龍め…


膝掛けも何故か準備されている

それも1枚どころか数枚、

注視すれば弟が好きな肌触りの…保温性の高いもの

…まあ、それを感じ取れる部分は

目元回りだけだが…




「みゃ…みゅうぅ…(兄上…ごめんなさい)」

「ん?」


触ればやはり、好きな肌触りの物だ、

そう思っていれば鳴き声がする


膝、

…と前から肩に掛けて弟を包み込むように、ソファーと背の間に端を差し入れて固定する

もふもふの塊の完成だ…


「どうしたの?オリゼ」

「みゅ…(もう…)」

「ん?」

「みゃう…ぅ(しません…)」



「…なにを?逃げないってことなら、

食べ終わったら鎖で繋ぐから安心して良いよ?逃げなくて済むでしょう?」

「っ…みゅ!?(っ…兄上!?)」


「罰がこれ以上重くならないようにって配慮だけど…気に食わないの?」

「…みゃ(…いいえ)」




その、項垂れながらも返事をする様子に

口が緩む…


「なら問題ないね…ああ、良いよ青龍」

「…失礼します」


とっくに、青龍は横に控えていた…

昼食の膳を持って。

弟は自身の事で必死…

入室してきたことにも気づいていなかったのだろう

跳ねるように顔をあげてびっくりしている




「…さてと、粥ね。

青龍、鎖用意しといて…勿論オリゼには俺が食べさせるし構わなくて良い」

「…畏まりました、準備して参ります」




机に並べられた物は

少量の粥に二人分のうどん…

成る程ね

具材は沢山入ってはいるけれど、それは俺が食べる分

弟が食べられるのは汁とうどんの麺だけだ


ふふふ…青龍も考えたな

確かに"同じメニュー"

膳は一つしかないのだから…

そして各1碗


まあ、俺に対して不敬だけど…

こういうのは面白いし良いかな?

青龍も分かっていてやっている、俺の琴線に触れることはないと分かっているからやったことだろうし…ね





「み…」

「ん?食べようか…ん、適温だね…はい、あーん?」

「みゅ…(あ…)」


「可愛い…はい、もう一口」

「ぅな…(あ…)」


「素直に口開くなんて、よっぽど効いたんだね…

いや、直ぐにまたあそこに戻されたら、…と思ってるのかな?」

「…み(…う)」


「さてと、次は汁ね。

はい、…口閉じてるよ?」

「み…(あ…)」


「可愛い…もう少し食べる?」

「…」


頭を振って否定する…

そう…お腹いっぱいって訳ではなさそうだけど

胸がいっぱいなのかな?

食欲もあまり、沸かないか…



「なら、少し待ってて。

俺も食べてしまうから…寝てしまっても良いよ?疲れたでしょう?」

「なぅ(いいえ)」


「そう?分かった」


青龍の心配り…

別添えの大量の薬味に稲荷

天麩羅に、半熟卵か


それをうどんに入れて食べ進めていく

これならギリギリ常食かな…?

かなり庶民的ではあるのだろうけれど、染みた稲荷、揚げからでる甘く濃い煮汁が汁に溶けていく

葱や生姜の辛味がそれと相まって美味しいことは美味しい

貴族然とはしないけれど、

たまには良いね…ほっこりするかな?


俺を絆す…

その効果を狙っていることも、

青龍の思惑も透けては見えるけれど…ね







「さてと、胃も落ち着いたね?

寝室に行こうか…」

「にゃ…(はい…)」


「…青龍」

「はい、こちらに」



差し出された鎖を受け取って、

ブランケットごと弟を抱き上げる

寝室に向かう足取りとともに、握っている鎖の金属音が僅かに鳴った





ベッドに下ろせば、

首を隠すように丸まってしまう弟…


可愛いと、

そのままでも良いかと思ってしまうが

そうは出来ない。


「オリゼ、首隠さないで。繋げないでしょう?」

「…なぅ…ぅ(…兄…上)」


「オリゼ…3度目はない」

「にゃ…(はい…)」



チャリッ…

鎖を縮こまったオリゼの目の前に見せつけるように言う

3度目はない…と、

暗にまた閉じ込めると脅せば

潤む目を見開いて直ぐ首を差し出した弟に…


笑みを隠しながら…

ベットの枠に留めた鎖をオリゼの首のベルトに繋ぐ




「これで逃げられないね?」

「きゅ…(うぅ…)」


繋いだ金具が外れないことを確認しながら

耳元で囁けば

顔色が失せていく

潤んだ眼からは、ついに滴が溢れ落ちた



「眠くなったら寝ていい。

何かあれば俺は此処にいるからね、呼べば良いよ」

「なぅ…(はい…)」


最後に…

ブランケットを掛け直し

タオルケットで首上まで覆ってやれば

それに頬刷りするようにタオルケットに顔を埋めて、

…本格的に泣き始めた

体の震えで、

鎖が鳴る…そしてその音にまた泣く…


可愛い…

タオルケット上から背を少し撫でてやってから

ぐずる音に変わった声に手を離し、

足を机に向けた






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