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殺陣11




…黙って聞いていれは好き勝手言いやがって





煮るなり焼くなりと、

確かに売り言葉に買い言葉で…言ったは言った


そして手抜き…手加減か?

二人が俺のレベルに合わせた上で、手合わせ

基…リンチが開催された




それが不利な条件であっても看過できない

倒れれば立ち上がるまで待たれる

急かすことなく、此方の技量の無さを責めることもない


へばり…呼吸がままならなくなって

決死で振る太刀筋に剣が当たるのは…合わせてくれている

それしかないからだ

格好が悪すぎる

そこまでされて立ち向かわないなど、負けることが分かっていても…本気を出さず手を引くなどもっての他だ





結果、地に伏し

動けないのを知っていて…からかわれていてもだ

尻尾を巻いて逃げるよりはよっぽど、マシだ




その思考回路も性格も

よく知った上でのやり取り

手合わせ

軽口、か


悪友どもめ…



俺の無駄に高いプライドが許さなくても、

俺らになら恥を晒しても我慢がなるだろう?と…

そうオニキスは言うだろう


約束の時間ならば恥ることはない

理由があるなら仕方のないことだよね?

…そうラピスなら言いそうだ



己自身でもそれが分かっているのが…

お前らになら晒せる

お前になら…仕方ないと理解してやれる


憎い奴等だ…そして同時に大切でもある

本当に憎たらしい







力が戻ってくる

左腕を支えにすれば掌に砂利が食い込む

頃合いだな…

疲労が溜まった手足を鼓舞しながら立ち上がる


本当に好き勝手言いやがる奴等だと、

一瞥をくれ、ランタンの掛かった木の根もとに向かう



喉が渇いた…

風呂敷から出した水筒を上げ煽り飲み下す


美味い…

その一言に尽きる

そのまま飲みながらもふと目に入った、

…凭れるのに調度良さそうな根の配置に、腰を下ろして背を預けた







ジャリ…

二人が此方に歩いてくる、土を踏みしめる音がする


「…満足か?」

目の前に並んだ足を見ながら問えば


「んー?腕立て100回、背筋50回…後なんかある?オニキス」

「ああ…素振り1000に、型を100セットだな」



「…」


つらつらと出てくる暴言に絶句する

これ以上この磨耗した体でやれと言うのか…

ギリッ…

こいつらでなければ面を張り飛ばしているところだ


青筋がビギッと軋む音がする

眉間の皺も寄りによっているだろう

だが…



「…それで満足するのか?」


ゆっくりと細く息を吐き、懐中時計を懐から出して確認をする

残り二時間で…調度良い練習量と言えば練習量だ



「うん、今日のところはね?」

「だな…とりあえずは満足する」



「…分かった…やりゃあ良いんだろ

そこを退け、邪魔だ」


全く遠慮がない

そして今の俺が寝込むことがない許容範囲ギリギリ迄の見極めた配慮

…配慮と言うよりは


いや、どうせやることは変わらないか

邪魔…

立ちはだかるように依然として退こうとしない


煽り飲み終わった水筒を風呂敷の上に投げ置き、

邪魔な二人を手で払いのけながらも

…溜め息混じりに重い腰を上げたのだった。




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