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「…これは、どんな状況だ?」


「ああ、ごめんねオニキス

今、支度するから少し座って待ってて?」


「いやいや、可笑しいだろ。

はいそうですかとか言えないぞ…てか、ラピスだよな?」


「…んー?」



「んー?じゃないだろ。戻ったのは良いとしてだ…

何なんだ?お前の侍従は並々ならない様子で低頭してるし、オリゼは拘束されて膝枕されたまま寝てる」


斯々然々(かくかくしかじか)?」



「…言葉にならん、説明してくれるんだろうな?」


「いいよ?

その前に…オリゼ起きて、何寝てるの?」






「…ん?」


「オーリーゼー?」


「…もうちょっと」


「…いいの?僕に逆らって…

もう起きてるでしょ?」



「…分かったよ、起きる」


少し声か低くなったのを感じて、

返事と共に目を開ければ…

俺を起こしながら、ソファーから立ち上がるラピス


背もたれに持たれかかされ、

座らせられた



眠気眼で何をしているのかと目で追うと…

部屋に描かれている魔方陣に手を翳している

魔力を注ぎ

朝食を持ってくるように何やら伝えている





…ルークに普段ならやらせる筈だけどなあ

オニキスが言った通りだ

振り反れば部屋の片隅で両膝をついて頭を垂れている…

罰か…

あんな様子だし…サーブもさせて貰えないか



「…オリゼ」


「ああ、おはようオニキス」


「…おはよう…じゃなくてだな、お前それ…」


「多分もう外してくれると思うから大丈夫、

ね、ラピス?」


隣に座ったラピスに声を掛ける


「…仕方なくだよ、学園の侍従を部屋にいれるからね」




足枷から順に外していく

動くことなくそのまま、されるままに暫くされていると

全身の

…体の自由が戻った




「痛むところは?」


「…ない」


「食後にマッサージするからそれまでは大人しくしててよ

未だ完全に力は入らない筈…いい加減学んでるよね?」

「分かってる…」


本当に?と言う目を

御座なりに見返せば、一応は納得したようだ



外した枷を簡易的に魔方陣で浄化し、

自分の手で枷を棚にしまっていく

そのラピスの動きを察しているのだろう

頭を下げながらも…体が自然と動くのか


主人自らの手を煩わしている

自身が手を差しのべすら出来ないこの状況は、

さぞかし侍従として辛いに違いない

視野の片隅でルークが少し動くのが分かった





コンコン

「お食事をお持ちしました、失礼しても宜しいでしょうか」


「入って」



ビショップが扉を開けて入ってきた侍従

美味しそうな匂いが立ち込める


「その辺に適当にでいいよ、サーブも要らない。

終わったらまた呼ぶから片付けをお願いするね?」


「承りました、その様に致します」



何か危険な空気でも感じたのか…

必要以上に手際よく食事が並べられていく

そして退室していった…





「…ビショップ」

「失礼します」


目の前のやり取りをぼうっと見ている

そうか、毒味だな

少しずつ皿の料理を取り、匂いと味を確認していく


…で、だ

オニキスはいい。

俺もまあ…侍従でもあるからいいとしてだ


問題は…ラピスの毒味役が

部屋の隅で動けないことだ…




「ごめんね、オニキス

侍従を使ってしまって」


「…いい、ビショップも心得てるし、部屋に入った瞬間に俺が許可したからな。

あの様子だと何かやらかした…ラピス、お前が怒るまでの事したのか?優秀なんだろ…そうそうミスをするなんて考えにくいが」



「まあ、食べながらね…

それと、何してるの?オリゼ…」




「毒味役?」


「…僕を怒らせたいのかな?侍従の真似事させるつもりはないんだけど?」


「これもラピスのしたいことだろ?

ルークに灸を据えるなら、これが一番だと思うが」


毒味もルークが本来ならばすることだ、

それを俺が遊び半分にするのだから…腹に据えかねるだろう。

そもそも、

朝食の準備もさせてもらえていない

ただ立たされているだけで…


ラピスが意図する、

侍従としての働きを許されないことはルークにとって辛いもの

加えて…

それに類することが眼下で繰り広げられれば…



「…まあね、理由があったとしてもオリゼをそう扱うことは万が一にも無いけどさ。で、オリゼ…異常無かった?」


「無い、俺の知識の限りでは。

ビショップは…ああ、大丈夫そうだな」


オニキスに料理を勧めているのが見えた

それを見て、漸く食事にありつけると自身の目の前の皿にフォークを進めようとしたときだった




「…なに?ラピス」


捕まれた腕、

そして不満だと示すラピスの行動だ…




「お前の毒味役は?」

「俺が兼ねてる」


「…今回だけだからね」

「分かってる」


…食堂とは違い、サーブする相手が決まっている。

だからこそ毒を仕込むのにはこういう場がふさわしい

それを知った上で毒味なしの料理を食べようとした、

主人たる、ラピスの身の危険をただ看過する…ルークへの当て付けにはもってこいだ。



だから俺が毒味無しに食べようとしても、

それを注意する立場にラピスはいない…まあ、安全だとは思うけどと

…最終的には溜め息と共に、思った通り止められた腕を離されたのだった





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