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部屋を辞すれば、

ソファー横にぐったりと寄りかかった主人の友人

目に入った光景に頭を切り替える


来客用の部屋の戸棚から、えんじ色のタオルケットを選び、

傍に向かった




規則的に動く背と、

胸元で静かなままの石に一安心する


ゆっくりとその背に掛ければ

びくりと動く

もしや寝ていたのか…


起こしてしまったのかは、

それは分からないが…

埋めた顔をゆるりと上げて此方を認めた目は、

…驚きに見開かれている




肩から落ちたタオルケットを手に取れば

それを目に入ったのだろう…

更に目を見張る


「…主人を戻して下さって有難う御座いました」


驚いて固まっている隙に

手と足を繋ぐ金具を外し、体を抱えソファーに横たえる

その上からタオルケットをかけ直せば


言葉にならない、

何か言っているくぐもった声が聞こえる

構わずに




……


「"なにもするな"との命令に背いているとでもお思いですか?

きちんと許可は取っていますからご安心を」



「…」


そんな訳、あるはずがない

100歩譲って何か掛けることを許されたとしても

ラピスがこんな半端に戒めを解くことを許すなんて有り得ない


頭を抱えられ、枕が差し込まれる

近づいたその顔に不審げな目を向ける


感謝されていることは分かった

ただ、何故主人の意向に逆らってまで俺にここまでする?

今まで知っているルークならばやらないはずだ

主人に忠実で、仕事に全うしていたはず

何が裏があるのか…

見返りを求めるつもりか…




「私がこんな事、するにはなにか理由があると?残念ながらただ貴方様を楽にしたいだけです、

他意はありません…ですから暴れないで下さい」


「…」


それが本当だとして、

肝心な答えを貰っていない

枷を元に戻せと、せめてソファーから床に戻ろうとするも

やんわりと阻止されて…




「分かりました…

本当のところ、勝手に枷を外す許可は得てはいません。

朝また同じ様に戻せば宜しいでしょう?上手く立ち回りますのでご心配なく。類が及ぶようなことは致しません」


「…ぐっ」



「まだ…なにか?

…ああ、ただで済まないことは分かっています。ですがもうしてしまったことです、後には引きません」



タオルケットだけでも叱咤されるだろうに…


枷を外した事がバレれば

対価と責がどれ程のものになるか…

覚悟があるのならば良いが…


友人相手でこの状態だぞ?

本当に良いのかと問いただす…ように目で訴えるも

…なしの礫


分かっていて言ってやがる

苦笑した顔と目が返ってきて…確信した




お互いに

繕ったところで

枷を外した事は直ぐにバレる

それは分かっているから…



筋肉の張り具合が違うはずだ

朝、隠蔽工作してまた同じく枷を繋ぎ合わせたとしても

マッサージしたときに分かる

正座のまま、固定されたままの腕

ふくろはぎと肩周りがどれ程のものになるかは分かるはずだ

それがない



腕を下に下げたまま拘束されていたら

血液も滞り、冷たくなるはず

それを緩和するタオルケットがあったとしても

横になって寝た場合とでは…

明確すぎるほど差があるだろう




力を抜くように、

繰返し、繰返しタオルケットの上から撫でられると…

抵抗も録に出来ずに眠りに誘われた




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