表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
144/300

調整29



「今回は止めておこうか

僕もそろそろ眠くなってきたし…ルーク」


「…っ」

…指を離され、ゆっくりと背を押されるようにソファーに倒される



放置か?

確かにこのまま寝れはする、が…

流石に予想していた通りになるとは思わなかった



ソファーの座面が揺れる

ラピスが立ち上がったのか…


顔を横にしてみれば…寝室の方に歩き始める背中が見える




「…御呼びですか?」


「うん、そろそろ寝ようかと思って。夜食美味しかったよ」


反応してみれば、寄越された視線

一瞬、ルークと目が合った




「それは何よりです。では、寝室に…

…あの…ラピス様、このままでよろしいのですか?」


歩みを止めない

振り返りもしない様子に提言したのだろう…





「…大丈夫、今回は逃げないから何も必要ないよ」


「左様で御座いましたか…差し出がましいことを申しました」



「明日は……」








最後に一瞥をくれながらラピスを追い、

部屋に入っていったルーク



あの言葉は

明らかに俺に聞かせるものだ…


"そのまま放置しろ"

と命令をルークにしたラピス


俺に、と言うよりも

ルークを牽制したのかもしれない


抵抗を奪われた俺を心配…

無いとは思う


だが、あの一瞥

何度向けられたか分からない無機質な目では最早無かった

俺を案ずるような…





いや、ない

主人を元に戻したからといって感謝したとしても

…あのルークが仕事モードを崩すわけがない


見間違えだ

考え違いだ


疲れているんだ…

あの会話もただ、客人の対応を仰いだだけだ

仕事に必要な指示を仰いだだけ



もしや…

こんな思考をする位、精神的に来ているのか

…寝た方がいいな


ソファーに顔を埋め直し 

体の力を抜いてソファーに預けた





………


「らしくないね、ルーク」


「…申し訳ありません」


「オリゼに情でも湧いた?仕事の時は余り見せないのに」


「申し訳ありませんでした、ラピス様」



部屋に入った。

扉を閉めるなり振り返る主人


低頭して詫びる

主人を蔑ろにする様にも取れる発言だったに違いない

怒っているだろうとそのままの体勢で沙汰を待つ



「…まあ、人間らしくていいよ。僕の事を軽視して言ったわけでは無いのは分かっているから、罰は与えない」


「…畏まりました」


「それがルークには罰になるでしょ?主人の意向に逆らっても何の処罰もないのは」


「その…通りでございます」


「反省してるなら今回はそれでいい。分かったなら…ほら、頭あげて?」


「…はい」




頭を上げれば嬉しそうに笑う主人

…疑問符が頭のなかを埋め尽くす

感に触ったのではないのだろうかと思っていたが…

いや、触ったのではあろうが…


「僕、寝たいんだけど?」


「っ!…直ぐに支度を」


何処か笑うように言われた

呆けていたのを咎められてもいる


直ぐにクローゼットに向かい、寝着を取り出す

主人に歩みより、立ったままの主人の着替えを進めていく







「ルーク」


「…はい」


「オリゼの呼吸が止まったら…いや、正確には鼻呼吸が儘ならなくなったらこの魔法陣が鳴る。俺の許可を取りに来なくていいから、口枷をとってやってね?」


「…お預かりします」


着替えが一連終わったタイミング

…渡された魔法陣が刻まれた蒼色の石を受け取る

胸の内ポケットに入れれば、満足げな顔をされる





危険な拘束をする

それをした側の責任は重い


罷り間違えば、命を奪うかもしれない

その管理の重要性をこの主人は分かっている

その上で、その管理を私に預けた…


仕事と言えば仕事

だが、信頼がなければ預けはしない…

それに今回は大事にしているご友人だ

その信頼に応えると受け取った時点で答えたと同義




「任せたよ?」


「分かっております…足を」


掛布を上げれば

ベットサイドに座った主人

差し出された足の靴を丁寧に脱がせていく





「…ああ、言い忘れてた」


「なんでしょうか?」


横になった主人に掛布を掛けていれば…

なんだろうか…と伺った




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ